改革は地方から。ここ数年目立つのが、元気で、はっきりとものを言う知事たちだ。言行一致で改革を進めるその活躍ぶりは、日本の将来に明るさを感じさせてくれる。地方自治の要、都道府県政を指揮する知事は、企業にたとえるなら経営者である。さまざまな抵抗を打ち砕きながら、改革を遂行する考え方、行動力はマネジメントの良き手本となるだろう。知事の改革を紹介するシリーズ、今回は、佐賀で改革を断行する古川知事である。
■知られざる佐賀の名産をいかにPRするか
「佐賀牛は、香港のお金持ちの間では食通の選ぶ肉として有名です。実際、松阪牛には少しだけ負けるかもしれないけれど、間違いなくその次のランクに入る品質なんです」
ところが残念なことに、その知名度は今ひとつといったところではないか。佐賀県の問題点は、こうした名産品を地元で手に入れるのが難しいことにある。
「佐賀牛を食べられるお店は市内でも限られている。お土産に買って帰ろうとしても、売っている店がなかなか見つからない。これが残念でなりません」
そこで古川知事は昨年、一年間かけて「タウン情報さが」で佐賀の名産を紹介してきた。知事が力を入れたのは、地元の名産品を買える場所の紹介だ。
「せっかく佐賀にお越しいただいたお客様に対して、おみやげにぜひ、と言いたいじゃないですか。佐賀県は地道なモノづくりは得意なんだけれど、PRはあまりうまくないというか、広報にうまくお金を使う感覚をこれから養っていく必要がありますね」
観光立県を考えれば佐賀の立地は恵まれている。まずすぐ隣に巨大なマーケット、福岡がある。ここには人口が500万人も控えている。さらに空路を使えば、韓国、中国、台湾に香港のいずれからでも2時間圏内だ。こうした経済発展著しい諸外国からの来客に、今後の期待がふくらむ。
「実はアマゾンの本社を佐賀県に誘致できないかと考えて、真剣に交渉したこともあります。そう簡単にはいかないだろうけれど、まだ諦めちゃいません。ネット企業なんだから本社は本来、どこにあってもいいはずでしょう」
知事の何よりの特長は、その発想に無意味な枠がまったくないことだ。自由闊達なアイデアに富み、行動力に裏打ちされた発想は、次にどこに向かうのか。コンパクトだからこそ、先陣を切って自ら渦を巻き起こすと宣言する佐賀県の今後は、世界の中での日本の進路を考える上でも、貴重なモデルとなるはずだ。
~特集インタビュー
「地方活性から日本再生へ 知事の思いは今・佐賀県古川康知事」完~
『佐賀県 関連リンク』
佐賀県HP:http://www.pref.saga.lg.jp/web/
古川康のパワフルコム:http://www.power-full.com/
有明佐賀空港:http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kuko/index.html
佐賀県職員採用試験情報HP:http://www.pref.saga.lg.jp/web/jinji.html
九州国際重粒子線がん治療センターHP:http://www.saga-himat.jp/
九州新幹線HP:http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kenseijoho/shinkansen/index.html
トライアル発注実績商品HP:http://www.pref.saga.lg.jp/web/trial.html
JAさが直営、佐賀牛専門のレストラン「季楽」:http://jasaga.or.jp/kira/
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