「言った」「言わない」の感情論争に陥りがちな上司と部下。そんなときに大事な処方箋は、「大きな絵」をともに見晴らすことである。
第三点としてお互いが見つめなくてはならないのは、まず何よりも顧客であり、そして取引先であり、社会です。
上司と部下は、これらの前ではある意味パートナーです。
顧客が欲しがっているものは何か、取引先といい条件で契約を結ぶにはどういう交渉が考えられるか、社会にとっていい商品・サービスとは何か、など、これらの解決や創造に向かって両者が外にエネルギーを放出するとき、両者の関係は協創的になり、友好的にならざるをえません。
◆同じものを「見晴らす」
もし、部下であるあなたが上司との間で、「言った」「言わない」の感情論争に陥りそうになったら、あるいは、数値目標を「達成しろ」「できない」の感情論争に陥りそうになったら、上司とともに、いま一度、遠くの第三点を見つめ直すよう視点を変えてください。
第三点とは、ビジョンであり、大局観です。
理想イメージを描いた「Big Picture」(1枚の大きな絵)と言ってもいいでしょう。
そこからの逆算で、中期の事業目標があり、短期の業務目標があるわけです。
上司と部下は「Big Picture」を共同して描き、見晴らすことが大事です。
Big Pictureを描くのは上司がやるべきと思って、任せっきりにしてはいけません。
部下もおおいに手助けしてあげてください。
それは上司への簡単な問いかけでいいと思います。
・「部長、この商品でお客さんの何が変わるのでしょうか?その原点を考えてみたいのですが」
・「この我々のサービスは自社や業界や社会にどんな貢献や意義があるのか、そこをもう一度議論しませんか」
・「例えば、5年後の事業をどうしていたいか、メンバー間で理想イメージを共有しましょう」
・「うちのやっている事業に元気の出るキャッチフレーズを付けましょう」などです。
上司/部下関係を建設的に保ち、強い組織力を形成しているところは、必ず当事者たちが担当仕事の意義や貢献を、第三点として共有しています。
その様子は次のコピーのように言えるかもしれません。
――――“One team under the vision.”
(チームはひとつ。みんなそのビジョンの下)
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【賢い部下ほど上司を活かす】
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。