上司をマネジメントする〈3〉~対上司ストレスを軽減する

2010.05.03

仕事術

上司をマネジメントする〈3〉~対上司ストレスを軽減する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

上司に対する「べき・はず」が強ければ強いほど、部下のストレスは強まる。上司をコントロールすることは難しいが、自分の「べき・はず」論ならコントロールできる。そこに対上司ストレス軽減の鍵がある。

目の前の上司をいかにマネジメントするか―――
(結局それは、自分の心と行動をどうマネジメントするかでもあるのですが)
そのことには2つの目的があります。

1つは、上司との関係ストレスを軽くすること。
もう1つは、上司という資源を活かして自分の仕事・キャリアを最大限に大きく広げること。
言ってみれば、前者はネガティブ要因を軽減するための方策で、
後者はポジティブ要因を増幅するための方策です。
今回と次回は、前者についてのことを書きます。

◆「なんであんな上司が高給を(怒)!」
さて、きょうのコアメッセージは次の言葉です;

「事柄に怒ってはならぬ。事柄はわれわれがいくら怒っても意に介しない」
                           ――――モンテーニュ

分からず屋の上司、無能な上司、ノルマばかりを押し付けてくる上司、
理不尽な上司、権威主義な上司、プライドだけが高い上司、
いつも上役に媚びを振る上司、言うことがぶれまくる上司、決断しない上司、
自分の保身しか考えない上司、意地の悪い上司、嫉妬深い上司、
不衛生な上司、ねちっこく部下を追い詰める上司……
等々、サラリーマン組織では、反面教師としたい上司が多々見受けられます。

そんなとき部下は、
「なんであんな人間が部課長として居座れるんだ!」
「あの上司が自分より高い給料を取っているなんて許せない!」
「あんたみたいな上司に言われたくないよ!」
「上司なんだから能力があるはず。人間としても人格者であるべき」
……と、イライラが募る場面も多いでしょう。

あるいは、逆に、
「こんな上司の下で働かなければならないのも自分の運だ。あきらめよう」
「上司の追求も正しいのかもしれない。できない自分がダメなんだ」
……と、自分をとがめて辛抱してしまう人もいるかもしれません。

いずれにせよ、
こんな精神状態で日々の職場を過ごすことは、確実に自分を痛めつけます。
そこできょうの本論は、「ABC理論」による上司ストレスの軽減です。

◆その出来事ではなく、信念が感情を引き起こす
臨床心理学者アルバート・エリスが提唱した論理療法「ABC理論」の原理を簡単に紹介しましょう。

ABCとは、次の3つを意味します。
(Activating Event)=ものごとを引き起こすような出来事
(Belief)=信念、思い込み、自分の中のルール
(Consequence)=結果として表れた感情、症状、対応など

次のページ因果関係はA→B→Cと表されます

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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