上司に対する「べき・はず」が強ければ強いほど、部下のストレスは強まる。上司をコントロールすることは難しいが、自分の「べき・はず」論ならコントロールできる。そこに対上司ストレス軽減の鍵がある。
目の前の上司をいかにマネジメントするか―――
(結局それは、自分の心と行動をどうマネジメントするかでもあるのですが)
そのことには2つの目的があります。
1つは、上司との関係ストレスを軽くすること。
もう1つは、上司という資源を活かして自分の仕事・キャリアを最大限に大きく広げること。
言ってみれば、前者はネガティブ要因を軽減するための方策で、
後者はポジティブ要因を増幅するための方策です。
今回と次回は、前者についてのことを書きます。
◆「なんであんな上司が高給を(怒)!」
さて、きょうのコアメッセージは次の言葉です;
「事柄に怒ってはならぬ。事柄はわれわれがいくら怒っても意に介しない」
――――モンテーニュ
分からず屋の上司、無能な上司、ノルマばかりを押し付けてくる上司、
理不尽な上司、権威主義な上司、プライドだけが高い上司、
いつも上役に媚びを振る上司、言うことがぶれまくる上司、決断しない上司、
自分の保身しか考えない上司、意地の悪い上司、嫉妬深い上司、
不衛生な上司、ねちっこく部下を追い詰める上司……
等々、サラリーマン組織では、反面教師としたい上司が多々見受けられます。
そんなとき部下は、
「なんであんな人間が部課長として居座れるんだ!」
「あの上司が自分より高い給料を取っているなんて許せない!」
「あんたみたいな上司に言われたくないよ!」
「上司なんだから能力があるはず。人間としても人格者であるべき」
……と、イライラが募る場面も多いでしょう。
あるいは、逆に、
「こんな上司の下で働かなければならないのも自分の運だ。あきらめよう」
「上司の追求も正しいのかもしれない。できない自分がダメなんだ」
……と、自分をとがめて辛抱してしまう人もいるかもしれません。
いずれにせよ、
こんな精神状態で日々の職場を過ごすことは、確実に自分を痛めつけます。
そこできょうの本論は、「ABC理論」による上司ストレスの軽減です。
◆その出来事ではなく、信念が感情を引き起こす
臨床心理学者アルバート・エリスが提唱した論理療法「ABC理論」の原理を簡単に紹介しましょう。
ABCとは、次の3つを意味します。
・A(Activating Event)=ものごとを引き起こすような出来事
・B(Belief)=信念、思い込み、自分の中のルール
・C(Consequence)=結果として表れた感情、症状、対応など
次のページ因果関係はA→B→Cと表されます
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
【賢い部下ほど上司を活かす】
2010.05.22
2010.05.13
2010.05.05
2010.05.03
2010.04.26
2010.04.25
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。