「ナポレオンはなぜ偉大なリーダーになりえたか?」―――リーダーシップの対にある概念を考え入れると、「部下力」ということがみえてくる
「上司」に対して「部下」という言葉があります。
では、 「リーダーシップ」 (leadership:指導性、統率者としての地位、任務、能力)に対して、どんな言葉があるでしょうか?
――――答えは「フォロワーシップ」 (followership)です。
これに関連して、もうひとつ質問します。
「ナポレオンはなぜ偉大なリーダーになれたのでしょうか?」
――――答えは、偉大な「フォロワー」がいたから。
◆フォロワーシップ=「従支性・従支力」
いまのところフォロワーシップに対してよい訳語は付けられていません。
私は、指導者に従い、支えるという意味で「従支」という言葉を当てたいと思います。
したがって、フォロワーシップとは、
「従支者としての立場やその能力」ということになりましょうか。
優れたリーダーの下には、必ず優れたフォロワーがいます。
逆に言えば、いくら潜在的に優れたリーダー資質を持った人でも、
彼に従い、彼を支えてくれるフォロワーがいなければ、タダの人に終わってしまいます。
ですから、ナポレオンが偉大なリーダーになりえた理由の最大のひとつは
偉大な従支者を持ったということなのです。
このことは現在の事業組織においてもまったく有効で、
ひとつの組織において、
優れたリーダーと優れたフォロワーが相互作用をはたらかせてはじめて
目覚ましい成果を出すことができるのです。
また、一人の人間の中においても、
リーダーシップとフォロワーシップは同居しています。
優れたフォロワーシップを発揮する者は、優れたリーダーになりえる―――
そうしたことを実証するフォロワーシップ研究も進んでいます。
リーダーシップとフォロワーシップはコインの両面である。
組織論やリーダーシップ論を研究する上で、この対になる2つの概念は注目されています。
◆フォロワーシップの5つのタイプ
フォロワーというと、上から言われたことを素直に聞いて動く
という狭いイメージになりがちですが、
実際のフォロワーはもっと広がりをもった存在です。
フォロワーシップを広く世に知らしめたロバート・ケリー教授(米・カーネギーメロン大学)は、
著書『指導力革命』(プレジデント社)の中で、
フォロワーを5つのタイプに分けています。
(タイプ分けには次の2つの軸を使っています;
「独自のクリティカル・シンキング」か「依存的・無批判な考え方」か、
「積極的な関与」か「消極的な関与」か)
その分類をかいつまんで説明すると……
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。