わずか4人のチームで、開発期間もたったの4ヶ月。世界初のケータイ用DL型フルブラウザ『jig(ジグ)ブラウザ』は福井で開発された。各社がしのぎを削るブラウザ争いの中でもjigブラウザは、価格や使い勝手で圧倒的な強みを持つ。あえて福井での開発にこだわる創業者の思いは何だろうか。
「パケット定額制ということは、使い放題ということじゃないですか。むしろ使わなければ、損するわけでしょう。だったらパソコン用サイトを携帯からばんばん見られる。これですごく便利になりますよね」
この発想を元に開発されたのが、世界初の携帯用Javaフルブラウザ『jigブラウザ』である。
「とにかく早く作って公開しようと4人体制でかかって、ちょうど4ヶ月で開発しました。画面の小ささをどうクリアするかに悩みましたが、虫眼鏡みたいにすればいいんじゃないかって思いついた。パソコン用の画面を虫眼鏡を動かして見るようなインターフェイスにすると、とても使い勝手が良くなったんです」
ネット時代の勝負を決めるのはスピードだ。いかに早く製品を世に送り出し、ユーザーからフィードバックをもらい、改良していくか。このサイクルを可能な限り早く回せる者が勝者となる。
「開発に集中できる環境としては、鯖江が最高です。東京にいると入って来がちな雑音も、ここまでは一切届きませんから」
開発チームにはコアメンバーの一人として高専の後輩が加わった。高専とのパイプを活かしているのだ。
「僕自身、高専には育ててもらった恩を感じていて、その関係は大切にしたいんです。卒業後も先生とは連絡を欠かさないし、それで後輩を紹介してもらったりもしています」
鯖江でjig.jpという理想の環境を作り上げた福野氏には、大きな夢がある。
「夢みたいな話かもしれませんが、Googleの技術力、Appleのデザイン力、Microsoftのシェアを兼ね備えた会社にjig.jpを育てたい。そして鯖江を日本のシリコンバレーにしたい」
東京にもオフィスはあるが、開発の中心はあくまでも鯖江だ。福野氏自身も東京には週二日の出張ベースで通い、自宅も含めて拠点はあくまで福井に置いている。
「jig.jpから独立した人が、鯖江でどんどん起業してくれたらうれしいですね。高専を卒業していきなり起業するのもありでしょう。仮にうまくいかなかったとしても、その経験を売り物にすれば、就職にはすごく有利ですよ」
意欲ある若い人たちが活発に動き、新陳代謝が活性化される場所としての鯖江。それが鯖江をシリコンバレーにという言葉の裏にある思いなのだろう。そして福野氏にはさらに壮大な夢がある。全世界のプログラマー10倍増計画だ。
「人に自由な時間を与えるためのツール、それがコンピュータですよね。そのためには、もっといろんなソフトを開発する必要がある。自分に必要なソフト、自分が使いやすいソフトを自分で作れれば最高なんだけれど」
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FMO第33弾【株式会社jig.jp】
2010.05.06
2010.04.30
2010.04.22
2010.04.16