わずか4人のチームで、開発期間もたったの4ヶ月。世界初のケータイ用DL型フルブラウザ『jig(ジグ)ブラウザ』は福井で開発された。各社がしのぎを削るブラウザ争いの中でもjigブラウザは、価格や使い勝手で圧倒的な強みを持つ。あえて福井での開発にこだわる創業者の思いは何だろうか。
第3回「最初の起業と挫折、そして再度の起業」
■iアプリ登場
「ちょうど高専を卒業する頃にiモードが出たでしょう。これからは携帯電話でいろんなことができるんじゃないかと盛り上がって、携帯で何かやろうよと興した会社が、有限会社シャフトでした」
仲間と立ち上げた会社で福野氏はCTOを務める。そして携帯向けのソフト開発に携わった。ところが最初の製品こそ携帯用だったが、やがて受託業務がメインとなり、会社の方向性と福野氏の思いにずれが生じる。
「手っ取り早く稼ぐためには、どうしても受託になる。業界の構造上仕方がない面もあるのですが、受託だったらバイト時代とやってることは同じ。しかもフリーでプログラマーをやっていた頃に比べて、拘束時間は長いのに手取りは少ない。あれっ(笑)みたいな」
仲間三人で興した会社でプログラムを書けるのは実質的に福野氏だけ。どうしても作業負荷は集中する。
「携帯をやりたかったのに、これじゃ意味がないなあと思っていた頃、ちょうどタイミング良くiアプリが発表されたんですね」
2001年からスタートしたiアプリは、ドコモの携帯電話上で動くJavaを使ったアプリケーションプラットフォームサービスである。
「本音をいえば、それほど携帯に興味があったわけじゃないんです。でも、iアプリ登場で状況は180度変わりました。何しろ携帯がコンピュータになるわけですからね。これは革命的な変化ですよ」
iアプリはまず仕様書が公開された。続いて開発キットも近日公開とアナウンスされたが、これがなかなか出てこない。しびれを切らした福野氏は思いきった行動に出る。
「待ってるだけじゃ仕方がないから、自分で開発キットを作ってやろうと。幸い仕様書はあったので、それを読み込んで自作しました」
せっかく作ったのだから、人に評価してもらいたいと考えるのは、開発者なら誰しもの思い。早速プレスリリースを送ると、日経が取り上げてくれた。
「びっくりしました。いきなりサーバが落ちそうになるぐらいアクセスが集中しましたから。みんな、同じなんだな、携帯で何かやりたいって思ってる仲間が、こんなにたくさんいるんだなと思うとうれしかったですね」
しかしiアプリ開発への思いが募れば募るほど、とシャフト社の方向性とのずれは広がっていった。限界を感じた福野氏は二度目の起業にチャレンジし、有限会社UNI研究所を創業する。
■二度目の起業、そして再度の挫折
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FMO第33弾【株式会社jig.jp】
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