上司に対する「べき・はず」が強ければ強いほど、部下のストレスは強まる。上司をコントロールすることは難しいが、自分の「べき・はず」論ならコントロールできる。そこに対上司ストレス軽減の鍵がある。
自分の長いキャリアを健康に歩んでいくためには、
上司との間でうまく折り合いを付けながら、柔らかに自己を通していく術を身につける必要があります。
こう書くと、結局、自分の信条をすべて中和、緩和して、上司にすり寄り、
アイデンティティーの中核となる「べき」論を捨てろというのか、
それじゃ単なる優柔不断人間になれと言っているのと同じではないかと
お考えになる方もいるかもしれません――――それは違います。
職業人としてあなた自身は、
独自の「べき」論を持って、確固たる目標・目的をおおいに抱いてください。
それは上司や他人、世間がどう言おうと変える必要はなく、抱き続けるべきものです。
ただし、それを実現するための手段やプロセスにおいては、
我を通しすぎると障害が出てくることがあるので、
時に柔らかく受け止め方を変えて自分へのストレス負荷を軽くしてください。
なにせ、キャリアは何十年というマラソンなのですから健康が第一です。
健康を崩していては、目標も目的も台無しになるのです。
一本の樹を想像してみてください。
幹は揺るぎなくしっかり伸びていますが、枝葉は風になびいて、しなっています。
枝葉まで硬直してしまうと、強風にあおられて、
樹全体が折れたり、倒れたりしてしまうからです。
自分の信念をときにうまくコントロールして、「しなる」ことが大事です
――――こういうことです。
上司との関係づくりにおいては、
ときに「負けるが勝ち」でいいじゃないですか。
そういう柔軟な“信念”が自分を助けます。
次回は、上司ストレス軽減の処方箋をもうひとつ紹介しましょう。
*本シリーズ記事の詳細議論は、拙著『上司をマネジメント』を参照ください。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
【賢い部下ほど上司を活かす】
2010.05.22
2010.05.13
2010.05.05
2010.05.03
2010.04.26
2010.04.25
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。