広島大学の彦坂正道特任教授と岡田聖香博士研究員らは、鉄よりも強くかつ安価な汎用プラスチックの製法を開発しました。 今回は、この開発がもたらす環境経営へのインパクトについて考えます。
同大学の発表資料によると、現在は、食品容器メーカとの共同研究で、食品容器での産業化を目指しているとのことですが、金属なみの強度で重さはその数分の一という特性を考えると、本命は、軽量だけれど高価であったエンジニアリングプラスチックや繊維強化プラスチック、自動車や産業用の鋼板、建築の構造材などの重量物といった分野ではないでしょうか。
今回の広島大学の開発した製法技術に、鉄鋼、アルミ、ガラス、エンジニアリングプラスチック、繊維強化プラスチックメーカは、戦々恐々としているかもしれません。
余計な心配かもしれませんが、この技術が革新的でありすぎて、その影響があまりにも大きいことが障害となって、敵を多く作ってしまい、この技術の普及が進まないことが懸念されます。
鉄鋼、アルミ、ガラスメーカでは難しいかもしれませんが、優れた異分野の技術を脅威と捉えるのではなく、そうした技術を上手く取り込んで、自社の製品ラインアップに加えて頂ければと願います。
お客様は、質感を除けば、結局、鉄鋼、アルミ、ガラス、プラスチックといった素材や重さが欲しく買っているのではなく、「支える」「保護する」といった機能を求めているのであり、そうしたお客様のニーズを一番知っているのは、既存の材料をそれらの客様に届けている各社です。
素材メーカとしてそれぞれの素材への拘りがあるかもしれませんが、その立場を上手く生かしつつ、こうした異分野の素材を自社の環境経営に率先して生かす度量の大きいメーカが日本から数多く登場し、環境負荷の低減と経済性を両立させる、真の環境経営のお手本とでも言うべきこの新素材が、様々な分野で産業化、活躍していくことを期待します。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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