テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」でも取り上げられたツイッター企業、ザッポスのCEO、トニー・シェイは、「利益ではなく、情熱を追え!」の熱いメッセージを、世界の起業家たちに向けて送っている。そのトニーに、「お金があるから、情熱を追えるんじゃないの?」という質問にどう答えるか、訊いてみた。
トニー・シェイ:
僕の本の半分くらいは、ごく個人的な逸話ですから、他のどの本ともだいぶ違うと思いますよ。僕とまったく同じ人生経験をした人が本を書いていない限りは・・・(笑)。ただ、『Delivering Happiness』の真ん中のセクションは、ザッポス社内での推薦図書をはじめとして、世の中に出回っているいろいろな本の中の知識や英知を集めて、ザッポスの社内で僕たちがそれらをどのように応用しているか、について書いたものになっています。
石塚:
あなたは、たいへんな読書家ですよね。非常に忙しいスケジュールをこなす中で、どうやってあんなにたくさんの本を読んでいるのですか。また、本を読むことは、企業リーダーやマネジメントにとって重要なことだと思いますか。
トニー・シェイ:
リーダーやマネジャーだけではなくて、誰にとっても大切なことだと思いますし、ザッポスでは、会社の中のみんなに対して本を読むことを奨励しています。僕個人についていうと、旅行していることが多いので、いつも本を持って行くようにしていて、飛行機の中で本を読んだりしています。
(注:『ザッポスの奇跡』の中でも触れていますが、ザッポス本社の玄関ロビーには、「ザッポス・ライブラリー」と呼ばれる本棚があって、トニーをはじめ経営陣が推薦する本がずらりと並んでいます。普通のライブラリーだと、借りた本は返さなくてはいけませんが、「ザッポス・ライブラリー」の本は貸し出しているのではなく、社員が興味ある本を持ち帰って、自分のものにして読むことができます。これも、ザッポスのコア・バリューのひとつである、『学びと成長を追及せよ』の具現化された形なのです。また、ザッポスのリーダー養成プログラムや、コンタクト・センターのスキル・セットの認定プログラムなどでは、指定図書を読んで、読後感想レポートを提出するということが、カリキュラムの中に組み込まれているそうです。日本でもアメリカでも、「認定プログラム」というと、どうしてもスキル・ベースの試験を受けて云々・・・、ということを想像しがちですが、読書感想文が認定プログラムの中に組み込まれているところに、ザッポスの特殊性を感じます。)
(次回につづく)
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インタビュー
2010.04.27
2010.04.22
2010.04.20
2010.04.15
2010.04.13
ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。