やっと、組織の幸福論についての話題がメディアで取り上げられるようになってきました。しかし、まだまだ内容は表面的なものです。ですが、普遍的な幸福組織(生き甲斐や遣り甲斐を生み出す組織)の構築に向けた社会的認識が高まってきたことはとても素晴らしいことです。
しかし、残念ながら既存の組織マネジャーやリーダーは組織ファシリテーターとして組織シナジーを生み出せずにいます。
ではなぜ、組織シナジーを生み出せないのでしょうか?
それは、個々の能力の問題ではありません。組織シナジーを生み出すための本質を知らないのです。或いは教えられてこなかったのです。
それ以前に組織マネジャーやリーダーが自己の役割が組織シナジーを生み出すことであるという明確な認識が希薄なのではないでしょうか?
「業績」とは組織やチームの持つ組織力が生み出す結果です。
成果が出ていないということは組織力が極めて低いという証拠と言えます。
これまで、業績改善のための人材育成は個人のスキル強化が中心でした。無論、個人の能力向上は重要な要素です。しかし、強烈に認識しておかなければならないことは、個人の力をどんなに磨いても1以上にはならないという事実です。
ですから、個人の成長促進に更にチーム・組織の成長促進の観点を加え、組織シナジーを生み出すこともマネジメントの中心課題として欲しいのです。
そのために、経営者やあらゆるリーダーの皆さんには、組織シナジーを生み出す組織ファシリテーションを学んでいただきたいと考えています。
では、組織ファシリテーターとはどのような要件を満たし、何をする人材なのかについてお話します。以下に組織ファシリテーターとしての主な要件について明示しました。このことを体系的に学ばれた方はとても少ないのではないでしょうか。
これらの学びの本質は単なる知識習得ではなく、日常を舞台とした学びと体現(現実に実践し、現実から学び、学びから自己を変化成長させていくこと)によって培われるものです。
そして、組織ファシリテーターとしての役割の実践は、絶対的な他者支援という奉仕と貢献のあり方が問われます。組織で起こる問題を他責にせず、自らがポジティブな態度と姿勢を示し、チームの結束とシナジーによって問題を解決していくことなのです。
【組織ファシリテーターとしての主な必須要件】
1.組織の成長(発達)プロセスおよびシナジーを生み出す理論的仕組みを理解している。
2.Do(やり方)とBe(あり方)の違いを理解し、組織力の本質がDoとBeのバランスの上に成り立っていることを理解している。
3.自身の所属するチーム・組織の現時点の成長(発達)段階を客観的に認識できている。
4.内発的動機づけを基本としたコミュニケーションスタイルが実践できている。
5.傾聴と質問を中心とした支援的関わりができている。
6.ポジティブシンキングでありポジティブビジョンが創造できる。
7.自己変容(成長)に果敢に取り組み、自らがメンバーの手本となれるよう日々精進している。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。