組織におけるヒトを考える場合、離職(流動)も問題ですが、その根付き(定着)も問題です。“よい根付き”と“悪い根付き”の分水嶺はどこに?
【Envisioning Career-scape 第3景 ?3】=======
3回連続で触れている「ヒトの離職と根付きの問題」ですが、きょうはその最終回です。
先ごろ、ある場で私が話したことの要点は下の3つでした。
1)すべては“働くマインド”という意識基盤をつくりなおすところから
2)人財はリテンション(保持)からボンディング(絆化)へ
3)安すれば鈍する:野ガモを飼いならすな
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、冒頭、話が脱線しますが、写真の話をさせてください。
私は雑誌の編集に長く携わったこともあって、写真には関心があります。
写真集もさまざまに観ます。
私が先般、米国のアマゾンで購入したのは、
犬のラブラドールレトリーバーの写真集です。
その写真集は、ペットとしてかわいい、甘~い犬の写真集ではありません。
「猟犬・ラブラドールレトリーバー」の姿を撮った凛々しくも鋭い写真集です。
その写真集は、北米の大自然の山中で猟師に同伴するレトリーバー犬を写しています。
レトリーバー犬とは、その名のとおり、
猟師が射止めた野鳥をすぐさま探し出し、
猟師のもとへ、くわえて持ってくる(retrieve)ことを習性として配合された犬種です。
猟師が遠くの空に銃を構え、一羽の鴨に狙いを定める、
そして、その銃口が火花を散らそうとする瞬間、
その脇で、じっと銃の向く空の先を見つめるレトリーバーの姿はとても美しいものです。
眼光は集中して鋭く、2つの耳は前方に向け大きく尖り、
銃声が鳴り響くその刹那に全速で走り出せるよう全身の筋肉はエネルギーに満ちている。
そして、鴨の落ちた草むらの中に突進していく姿、
池の中に躊躇なく飛び込むその躍動的な姿。
そして、射落とされた鴨を探し当て、猟師のもとに、口を血で汚しながら
くわえて戻ってくるその勝ち誇った顔・・・。
私は、この写真集を観て、
レトリーバー犬本来が持つ美しさを知りました。
やはり、生き物は、本性を輝かせている姿こそ見応えがあるものだと。
その点、過剰に愛玩的に飼われているレトリーバーたちの
目の死んでいること、身体のだれていること、本性がくすんでいることといったら・・・
(ま、それはイヌ本人はいかんともしがたく、飼い主・飼い方によるものですが)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、本題に入ります。
組織におけるヒトを考える場合、
離職(流動)も問題ですが、その根付き(定着)も問題です。
離職については前回、前々回で触れていますので、今回は、根付きについて触れます。
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【3景】人財の離職と根付きの問題
2007.09.19
2007.09.08
2007.09.01
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。