ユーザーとメーカーが協働でマス商品を企画・開発する。ありそうでなかった仕組みが『マス・コラボレーションモデル』。F1層を中心としたユーザーの感性とメーカーの技術力をネット上で融合し、モノづくりに活用する。新しいプラットフォームを目指すアゲハのモデルに迫る。
■最初のワンサイクルを一刻も早く回す
「アゲハのビジネスは、世の中に4つのポイントで貢献できる。少しえらそうかもしれませんが、今ではそう思うようになっています。ショッピングを通じた個人のエンパワメント、新しい商品開発の仕組み作り、日本の消費者の優れた感性を世界に発信すること、そして国内アパレル製造業の次世代の基盤作りです」
女性にとってファッションとは、何より「自分に自信を持つ」ために絶対欠かせないアイテムである。ファッションを媒介として、1人でも多くの女性の世界観を輝かせるキッカケを提供する。これがアゲハのミッションなのだ。
「一方メーカーに対しては、お客様主導で継続的にヒット商品を開発する商品開発プラットフォームを提供します。マス・コラボレーションモデルがうまく機能すれば、在庫ロスや機会ロスをきっと抑えることができるはず。そうなると見違えるほど収益性も高まるでしょう」
さらに、このモデルから作り出された商品は、ネットを通じて全世界に発信されることになる。オンラインショップを開くということは、世界を相手にするのと同義なのだから。
「日本の消費者の感性は世界一高い、私はそう信じています。その素晴らしい感性を活かして創られたアイテムが、たくさん並んでいるオンラインショップって素敵じゃないですか」
そして、これだけにとどまらないのだ。木下氏は空洞化が懸念される、国内アパレル製造業の現状にも細かな目配りをしてみせる。
「国内の生産基盤がいま、がたがたと音を立てて崩れつつありますよね。量産品の生産拠点が人件費の安い国に移っていくのは、仕方がないことです。とはいえ企画と生産は本来、切り分けられないもの。仮に国内に生産基盤がまったくなくなってしまったら、企画力も衰えてしまうのではないでしょうか。それだけは防がなければならない。だから、カスタム品は、小ロット・短納期・品質管理という点ですぐれた国内メーカーをネットワークして活用することで、次世代のモノづくりの基盤を固められるよう少しでも貢献したいと思っています」
取り扱うアイテムはバッグ類からスタートし、服、靴、ケータイからアクセサリー等へと広げる予定だ。いずれも、事前に行った綿密な調査の結果『惜しい』が起こりやすいアイテムばかりである。
「カスタマイズサービスをリリースしたのが昨年の11月。まだ立ち上がったばかりなんですね。いかに早く最初の成功モデルを確立できるかが勝負だと思っています。幸い、リアルなお店での販売は好調です。丸井さんでの扱いは最初、新宿本館での3週間限定のキャンペーンでスタートしたんですが、これが無期限延長、主要店舗展開といったお話にふくらんでいます。だからこそ、早くオンラインでも答えを出したいですね」
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FMO第31弾【株式会社アゲハ】
2010.02.12
2010.02.04
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2015.01.21