なぜ求人募集広告の給与と実際の提示額は違うのか 2015

2015.10.20

ライフ・ソーシャル

なぜ求人募集広告の給与と実際の提示額は違うのか 2015

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

月給30万以上とか、年収650~800万という求人情報に応募したものの、書類選考を経て面接後採用通知かと思いきや、「月給25万でどうでしょう」とか「年収を600万でよければ採用したい」といった条件交渉をされることがあります。給与条件におけると求職者と採用者間ギャップを考えてみましょう。

・転職の理由は・・・・お金?
会社員であれば、誰しも一度は転職を考えたことがあるはず。既に転職を何度かしている人も、今や珍しくありません。私自身の場合、転職や会社を辞める、ということが頭を過ぎった時、本音をいえばその最も大きな要因は給与・収入でした。お金(給与)だけが仕事のすべてでないことは当然ですが、そうはいっても例えば職務内容や昇進/昇格に不満があっても、給与だけはずんずん上がったらどうでしょう?(あり得ない例ですが・・・)

職務内容への不満等も含め、かなりの不満は「お金」で解決できることは多いのでは、と思います。そのくらい大切な給与ですが、例えば求人票では「年収650~800万」と書かれていたので応募し、採用が決まったものの、雇用条件として提示された額は600万円だった、というような例もあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

企業にダマされた!最初からウソの給与レンジを出していた!と怒る方もいるでしょうが、実は必ずしもダマす訳ではないことも多いのです。一人の採用であっても、そこに何十人、下手すれば100人超える応募があることもあります。


・選考の実際
ところが、これまで何千件もの採用に携わった経験から申し上げますと、仮に1人採用に100人応募があったとしても、まともに採用社が求めるスペック(要求能力・経験条件)に合致する人は、感覚的に言えば1/3以下いや、1/5以下ではないかと思います。

例えば「人材派遣会社コーディネーター募集。経験3年以上。想定年収350万~450万」という求人があるとします。これに対し、某大企業人事職の人とか、中小企業人事部長、営業マンやショップ店員の方、等々いろいろな応募が来ます。

「経験3年以上」と書かれているからには、やはり採用社は人材派遣業の経験者、それも3年以上ある方を想定しています。ベテランがNGかどうかはその求人によっても違いますが、派遣業ではなく、人事をいくら何十年経験されていても、「派遣コーディネーター」募集には、普通はマッチしません。

一方、こういう募集では、実際未経験の営業マンやショップ店員の方が採用されたりすることはすごい異常なことでもありません。ただ、「想定年収350~450」とあるのに、提示された年収は300万だった、というのはこういう時に起こります。あるいはコールセンターSV経験は5年あって、派遣コーディネーターは1年半、等でもあり得ます。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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