ユーザーとメーカーが協働でマス商品を企画・開発する。ありそうでなかった仕組みが『マス・コラボレーションモデル』。F1層を中心としたユーザーの感性とメーカーの技術力をネット上で融合し、モノづくりに活用する。新しいプラットフォームを目指すアゲハのモデルに迫る。
アゲハのサイトでのもう一つの売りもの、カスタマイズニーズが一定数集まった商品については、どう考えているのだろうか。
「当たり前ですがきちんと対応します。そのために苦労して鞄職人さんのネットワークを自前で作り上げてきたのですから。20以上の票が集まった商品は職人さんにお願いして、小ロット・短納期対応で生産するシステムを整えてあります」
ということはユーザーからすれば、いずれアイテムバリエーションがどんどん増えていくアゲハのサイトは、アパレル系総合オンラインショップに見えるのかもしれない。しかも「惜しい」と思った商品を納得いくまでカスタマイズし「欲しい」商品としてゲットできるサイトなのだ。
「お客さまからの見え方としては、zozotownさんのようなアパレル系オンラインショップがベストだと思っています。カスタマイズ提案や投票などを通じてデザイン制作に参加したり、他のユーザーとコミュニケーションしながら、ファッションを通じて自分自身を創っていく……。まったく新しいショッピング体験がセールスポイントですね」
限られたイノベータやアーリーアダプターをターゲットとしているのではない。狙いはあくまでもマスである。だから取っつきやすさ、親しみやすさ、楽しさを全面的にアピールする。
「一人でも多くの方に使ってもらい、カスタマイズ提案や投票が起こるたびに、そこに秘められたニーズを解析したいんです。この課題をクリアできれば、これまでどこにも存在しなかったヒット商品を継続的に開発するエンジンを創ることができますから」
ここでどうしても一つ大きな疑問が沸いてくる。まだ現役の大学院生であるにも関わらず、木下氏がここまで幅広いスコープを持つに至った背景には一体何があるのだろうか?
⇒次回「研究を社会に活かしたい」へ続く(全四回)
『株式会社アゲハ 関連リンク』
株式会社アゲハHP:http://www.e-orihime.com/
◇インタビュー:竹林篤実 清水優太 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:村山裕章 ◇撮影協力:ピクスタ㈱
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FMO第31弾【株式会社アゲハ】
2010.02.12
2010.02.04
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2015.01.21