「無責任」と揶揄される安倍首相。 でも、誰もが「無責任」と思えるこの時期に辞めるのは、きっと理由があるはずだー そのような見方をすることが大事ではないでしょうか。
教育に携わる人間としては、苅谷剛彦東大教育学部教授の本は必読です。
教育について語る本が多いのですが、10代の皆さんにも、若手社会人の方にも、これから監督職になろうとする人にも、ものの見方や考え方を養う意味で読んでほしい本が『知的複眼思考法』です。
この本で書かれていることを簡単に述べれば、
「常識に囚われた思考をしてはいけない。自分自身の視点を持て」
ということに尽きます。
苅谷教授の述べる「知的複眼思考法」の格好の題材が最近発生しました。
安倍首相の辞任です。
・なぜこの時期に…
・きっと健康が悪かったんでしょう。
・答弁する自信がなくなったんだ!
…などなど、様々な声が、新聞やTVで報道されています。
一番多いのは、きっと
・無責任だ!
という声になるでしょう。
でも、「ふぅ」と一回深呼吸し、瞬間的に湧く感情を押し殺した上で、この事実を見てほしいんです。
「無責任」との声が確実に挙がるこの時期に、あなたが安倍首相だったら辞めるでしょうか?
僕はまず辞めません。
もし僕が「責任逃れ」をしたいのなら、「責任をとって辞めます」と話して、選挙の直後に辞めます。
自民大敗の責任をとっているように見せかけて、「大敗したからはいバイバイ」と、都合の良い(支持率低下の)責任逃れができる、これほど格好の時期はありませんから。
大敗してもあえてやる、そして中途半端な時期に辞める。
そこには必ず理由があるはずです。
彼が守ろうとした責任は、彼しかわかりません。
その責任と言うのも、国民への責任か、それとも自民党に対する責任かもわかりません。
「民主党に政権をわたさないために、すべての責任を“安倍首相”に自ら押し付け、“自民党”が悪いわけではない、というイメージ作りをすることで、自民党に対する責任をとったのではないか…」
そんな邪推も沸いてきます。
いずれにせよ、今後続く茨の道に対する、単なる責任の放擲で辞めたわけじゃあないでしょう。
こういう見方をするのが、苅谷教授の考える「知的複眼思考法」です。
もう一つ考えたいこと、考えてほしいことがあります。
結果として政治の空白期間をいきなり生んでしまった「無責任な事実」があることは確かです。
この「無責任な事実」に対する責任は、誰が負っているのでしょうか?
決まっています。安倍総裁を選んだ人です。
総裁として選んだのは?
自民党ですよね。
自民党員の皆さんはどれくらい責任感を感じているでしょうか?
その自民党を選んだのは誰?
国民ですよね。
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