商社マン しんちゃん。 走る! (34)

2010.01.20

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (34)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

色々な考えが頭を一瞬駆け巡ったが、自然にこう答えていた。

「こんな私でよければ、津田沼さんのところでがんばりますので
 是非お願いします・・・」

「そうか! それは良かった。
 俺も宮田君と仕事出来ると思うと感激やで。

 そうときまったら早速東京本社に手配するよってにな。 
 
 どころで君はいつの便で帰るんや?」

「明日の土曜日のマドリッド発の便で帰ります」

津田沼店長はこういった。

「ということは、出社は月曜日やな。 
 
 ほんなら、まずは、お前さんのところの、重工プラント本部の吉田本部長に
 仁義を切らなあかんのう。 

 吉田のおっさんは、大阪の隣の高校出身で、ツーカーや。
 吉田のおっさんに早速電話入れて、お前さんを是非マドリッドに下さいと
 すぐに仁義切っとくからな。 

 但し、俺からの今日の話は宮田君は全く知らないということで
 通してくれや。
 
 誰にも言うたらあかんで。 
 この種の人事がらみの話は、隠密で一気に行かんと、とかくちゃちゃが入る
 もんなんや。

 そのうち、吉田のおっさんから、呼び出されるんで、その時マドリッドの
 話が出たら、何も言わずに「有り難くお受けします」

 とだけ言えばええ。 ええか。わかったか!」

「はい! わかりました! お心遣い感謝申し上げます!」

「ちなみに、君、聞くまでもないがスペイン語でけへんやろ。
 帰ったら、スペイン語入門の本でも買って、ちょっとは勉強したらええ。
 英語でもビジネスできるけど、スペイン語出来た方がモテるで!」

津田沼店長の部屋を後にした宮田は、ホテルに向かうタクシーの中で、
小躍りしたくなるような嬉しさがこみ上げてくるのを抑えることが
できなかった。

 < や、やったー! 
   パリはなくなったが、これでおれも晴れてマドリッド駐在員や。
 
   バルセロナのサグラダファミリアだ、ガウディだ。 
   エッフェル塔やベルサイユ宮殿、セーヌ川もええけど、
   スペインも最高ちゃうのん?!!
 
   メッチャかっこええやん! 
   このヨーロッパ駐在員 しんちゃん様! >

次号に続く。
 

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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