商社マン しんちゃん。 走る! (30)

2009.10.16

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (30)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

【前号までのあらすじ】

海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか?  一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。  ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこでは、日本ではとても経験できそ
うにない体験が待っていた。
いよいよ海外の顧客とのネゴシエーション(交渉)が始まった。
さー百戦錬磨の中東のクライアントにしんちゃんはどう立ち向かう
のか?
クライアントからの突然の難題に、東京に助けを求めるしんちゃん
だが・・・・。
東京のサポートは如何に???

宮田には、今回この小さなホテルの部屋に集合している皆一人ひと
りがとても頼もしく思えた。

宮田を中心としてチームが一体となり、それをまとめる商社マンと
してのやりがいを肌で感じながら、商社マンとしてのモチベーショ
ンの高まりを感じるとともに、商談の成功の予感がなんとなくして
くる宮田であった。

かくして、いよいよ最終日の会議が早朝から始まった。

結局、その日の夜9時までかかってやっと4日間に渡る交渉会議は
終了したのであった。

日本連合の誠意を持った、かつ全員一丸となった必死の情報収集に
基づく、丁寧な説明が功を奏してか、会議の最後に調達部長である
ムハンマド氏がこう締めくくった。

「皆さん。この4日間の真剣な会議大変ご苦労様でした。

 振り返りますに、日本とイラン両国は、宗教や文化、民族の違い
 を超えて長年ずっと友好関係を維持してまいりました。

 その背景には、両国の政府、それに加えて皆さんのようなビジネ
 スマンたちが、誠実に関係を維持しようとして努力してきてくれ
 たからだと思っています。

 今回の大日本商事と丸の内重工の日本連合の皆さんも、それに違
 うことなく、我々の要求に対してとても誠実に、真剣に対応して
 くれたと思っています。

 これは、アロイコという民間企業である我が社にとってのみなら
 ず、引いてはイランという国家における今後のアルミニウム市場
 の発展にとっても、よい方向性と可能性を導き出してくれるもの
 と確信しています。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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