~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
【前号までのあらすじ】
海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか? 一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。 ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこで、日本ではとても経験できそうに
ないビジネス体験をこなして、大口契約をものにしたしんちゃん
であったが、商社の海外ビジネスの楽しさ、苦しさを嫌というほど
味わった出張であった。
これからいよいよ本格的に、入社以来の夢である花の駐在員として
海外に打って出て、海千山千のビジネスマン相手に勝負することに
なる。 ただ、その活躍の場が、世界でも特異な国と認識される
ところで頑張ることになるとは、当のしんちゃんも全く知る由も
なかった。
すっかり色づいた紅葉で、イチョウの木が黄金色に輝いている美しい
秋の駒沢公園を、宮田は篠原由美子と散歩していた。
ある日の週末の昼下がり、宮田は篠原をデートに誘ったのだった。
さわやかな澄んだ秋のひんやりした空気が気持ちよく、戦時中の
イランと違って平和な駒沢公園のいたるところには、デートを楽し
むカップルや、壁打ちテニスをするもの、ジョギングで汗を流す人
などでにぎわっていた。
激動のイラン出張から帰国してから1ヶ月がたっていた。
篠原が、宮田の横顔をチラッと見ながらこう言った。
「宮田君。まず、無事にイランから帰ってきてくれて由美子は
本当によかったと思おもっているの。
それと今回のイラルコのプロジェクトの受注は本当におめでとう。
なんでも大変なネゴ(交渉)だったんだって?
戦争地域の国家での商談、本当にお疲れ様でした。
普段は滅多に宮田君をほめることのないあの関さんが、私に、
{あいつは本当にいい仕事をやった}とつぶやいていたわよ」
遠いところを眺めるような目をして篠原は言った。
< あのおっさんが、ほんまにそんなこというかいな・・・ >
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商社マン しんちゃん。 走る!
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