「自社のポジションはいかなものか?」・・・「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」というが、敵を知る以前に自社のポジションを明確にして戦略立案の基礎とすることは重要だ。しかし、一個人でも「己の真のポジション」を把握することは難しいもの。 ついつい、背伸びしてしまう。自社のポジジョンに応じた正しい戦い方とは? 今回はその前編。
再び飲料業界の話。
リーダーである「コカ・コーラ」対チャレンジャー「ペプシ・コーラ」。
日本でもコマーシャル・フィルムでは放映された「ペプシ・チャレンジ」。
どちらが製品か明らかにされていないコップを街行く人に両方飲ませ、美味しいと思う方を指ささせる。そして「うゎー、ペプシだッたんだぁ~」と被験者が言う。
余談であるが、米国で生まれたこのキャンペーンの発案者はジョン・スカーリー氏。その後アップルコンピュータのCEOに転身した人だ。
もう一つ。かつて大人気を博したラッパー、M.C.ハマーを起用した比較広告。
ステージ登場前にハマーが“赤い缶”のコークを飲んでしまい、ナゼかメロウなナンバー「フィーリング」を歌い始める。
そこで、舞台下から“青い缶”を渡す黒人少年。そして、ハマーは元気いっぱいにラップを奏でダンスを舞い踊る。
・・・ここまでの露骨な比較広告は日本ではなかなかやらない。やればいいのに。
さらにもう一つ。製品戦略について。
「ペプシ・キューカンバー」。飲んだ?
キューカンバーとはキュウリのこと。
コーラにフレーバーを加えるのは、チャレンジャーたるペプシのお家芸である。
レモンフレーバーを添加してヒットさせた例は有名だ。
が、“キュウリ”だ。飲んでみた。何とも言えない味。
強いていうなら、キュウリというより、欲張ってスイカを赤い部分を超して、白い部分まで食べた時のような味だ。
しかし、この味、意外と受けたのだ。広告などほとんどなしでインターネットを中心にかなり話題になり、なかなかのヒットになったという。
こんな商品、リーダーである「コカ・コーラ」が手を出しただろうか。
スイカの白い部分の味がするコーラ。かなり微妙な商品であることは間違いない。
が、ペプシはなぜ、こんな商品を上市したのか。
答えは「チャレンジャー」だからだろう。
チャレンジャーは常に「俺たちは違うんだ!」と言い続けることでリーダーに戦いを挑み、生き抜いていく。
リーダーと同じことをやっていたのでは「同質化」によってその存在を掻き消されてしまう。
「違うんだ!」と言い続ける。
しかも、その言い方はハンパではいけない。ハンパでは存在が掻き消されてしまう。
リーダー対チャレンジャーの戦いの定石である。
【関連記事】
企業ポジションに応じた戦い方・実例シリーズ
「ニッチャーの戦い方」
http://www.insightnow.jp/article/467
「フォロアーの生き残り」
http://www.insightnow.jp/article/475
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2007.09.13
2007.09.14
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。