立ち止まるな、変化せよ!

2007.09.14

営業・マーケティング

立ち止まるな、変化せよ!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

前々回、強大な力を持った「リーダー」に対し、「チャレンジャー」は徹底的な差別化で戦うと述べた。 前回は、「ニッチャー」は自社の価値の源泉、「バリュープロポジション」を明確にし、他社にはできない必殺技を磨くか、顧客に対する問題解決力を高め、最適化するかが求められると述べた。 では、残る「フォロアー」は?

政局の混乱による経済への影響が懸念されるが、好景気が終わったわけではない。
しかし、この好景気は「実感を伴わない」とよく表現される。
確かに生活者にとっても、経営者にとっても、それは偽らざる本音だろう。
この好景気は、実際に未曾有のものだ。期間の長さではない。
「景気拡大」と「企業淘汰」が同時進行するという例は過去にはない。初めてのケースを我々は経験しているのだ。
グローバル化と進むM&A。寡占化。
一連の動きは先日来述べている「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロアー」という企業ポジションと無関係ではない。

ナンバー1のリーダーにはなれない。それに戦いを挑むチャレンジャーほどの力もない。ニッチャーとしての”独自の生存領域の確保”もできていない。
実はそんな企業が多いのもまた現実。
しかし、この時代それではなかなか生き残るのは難しい。
競争や変化が激しい業種であれば、存亡の危機はすぐに訪れるだろう。また、そうでなくとも、緩慢なる衰退が待っているのだ。
ではどうすればいいのか。
答えをひとことで言えば、「立ち止まらないこと」である。

冒頭に記した、「グローバル化と進むM&A・寡占化」というキーワードはフォロアー生き残りの一つの道筋を示している。
例えば「グローバル化・M&A・寡占化」が一番激しい業種の一つに製薬業界があげられる。
同業界においてはフォロアー企業でなくとも激しいM&Aと寡占化が進行している。
その理由はもはや有名であるが、合併によって”メガ・ファーマ”とならなければ、研究開発競争力が確保できないからだ。
国内大手の製薬会社であっても、世界規模で見れば現実には「フォロアー」であったという現実。
それを打破するために、M&Aによってチャレンジャーとしての規模と体力を確保した。これがフォロアー生き残りの一つのモデルだろう。
立ち止まらず、過去に縛られず、とにかく生き残れるよう規模を拡大することだ。

もう一つが、フォロアーからニッチャーへと変身することだ。
繰り返しになるが、ニッチャーの戦略の要諦は「独自の生存領域を確保すること」である。
そのためには、「バリュープロポジション」を明確にすることが必要だ。
顧客を絞り込む。得意なビジネス領域を尖鋭化させる。

実際にはフォロアーからチャレンジャー、もしくはニッチャーへの転身は簡単なことではない。
しかし、肝心なことはともかく「立ち止まらないこと」と「変わるという意志の強さを持つこと」なのである。

【関連記事】
企業ポジションに応じた戦い方・実例シリーズ

「リーダーに対するチャレンジャーの戦い方」
http://www.insightnow.jp/article/462

「ニッチャーの戦い方」
http://www.insightnow.jp/article/467

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

フォロー フォローして金森 努の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。