日記を外国語で書く。書いた日記を、その言葉を母国語とする人間が添削する。相互扶助型の語学学習SNS『Lang-8』は、日本初にして唯一のシステムだ。この1年間でユーザー数は一挙に10倍に増加。世界で1億人のユーザー獲得を目指すLang-8のビジョンと展開戦略を紹介する。
「絶対に間違ってはいけないという縛りがかかってしまうと、どうしても生きた言葉からすこし離れてしまう。ところが実際に留学して言葉を覚えるプロセスは、どんな感じですか。日々の暮らしの中でいろいろな人と会って、文法的には少々おかしくてもどんどん話すことで進歩しますよね。何より大切なのは、まず通じることだと思いませんか」
100%正しさを求めるのではなく、70点でいいから、とにかく使える言葉を身につける。喜社長の考え方はもしかしたら、従来の(特に日本の)語学教育の盲点を突いているのではないか。
■善意と好意が行き交う場
「添削を受ける、添削をしてあげる。両者ともに楽しめる、喜んでもらえるサイトができるんじゃないか。このひらめきがすべてのスタートでした」
Lang-8の不思議なポイントがここだ。添削して欲しい人はおそらく世界中にいくらでもいるとして、自分の貴重な時間を費やしてまで添削してあげようという人はどうなのか。添削ニーズにマッチするだけの添削者が果たして集まるのか。
「ところがです、中には添削だけしているユーザーさんも結構いらっしゃいます。一番多い人で毎日40件ぐらいかな、ひたすら添削してくれて、トータルでいえば何千件にもなるような添削者がいるんですよ」
添削マニアのようなユーザーが実際に存在するのだ。しかし、この事実こそがLang-8の本質を示している。Lang-8の本質、それは相互扶助の精神である。
「そもそも人はなぜ、外国の言葉をわざわざ学びたいなどと思うのでしょう。日本語で添削して欲しいと、自分の日記をアップする外国人ユーザーがいるとしましょう。その人はどんな人でしょうか」
仮に日本語を学びたい外国人がいるなら、学ぶ理由は日本に興味があるからだろう。おそらくその人は日本に対して、いくばくかの好感も持っているに違いない。であれば、その人の書き込む日本語は、たとえたどたどしいものだとしても基本的には、日本に対する好意や好奇心に満ちたものとなるだろう。Lang-8を行き交うテキストは、場に和やかさを与える内容ばかりなのだ。ネットで起こりがちな違った国同士のいがみ合いが起こることはまずない。
「僕もずいぶんたくさんの日記を読んできましたが、トゲのある文章など一つもありません。日本語の日記を書く人はみんな、日本のことが好きで日本に興味津々なんですよ。書かれた文章はもしかしたら日本語として頓珍漢かもしれないけれど、基本的に温かい空気に包まれています」
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FMO第30弾【ランゲート株式会社】
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2009.12.17
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2009.12.03