2009.12.02
■ボクシング/内藤vs亀田戦で気づいた『優良コンテンツ』のヒント
小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
ボクシング/内藤vs.亀田戦が脅威の視聴率を記録! この番組コンテンツには、『優良コンテンツ(=優良商品)』をつくるマーケティングノウハウがぎっしり詰まっていることをご存じでしたか?
KOに至る決定打が出なかった(最終的に亀田選手の判定勝ち)ため、見ている方は、結果的には、いささか消化不良の感は否めませんが、試合に対する両者の姿勢には、ボクシング本来の「攻め」と「守り」の両方の面白さがありました。
⇒お客様が望むボクシングの面白さ(=目が離せない展開)を二人のボクサーが演出したことで、お客様はチャンネルを変えにくかった!
■お客様は「世界戦」を見たかったのではない。「ストーリー」を見たかったのだ!
ここまで3つの理由を述べましたが、この3つに共通するのは、すべて「お客様視点」であるということ。お客様が望んだ改善、お客様が望んだわかりやすい構図、そして、お客様が望む展開。それらはすべて、お客様が望んだことを愚直に演出しただけのことなのです。
ちなみに、事前の調査では、「内藤選手が有利」「内藤選手に勝って欲しい」という声の方が圧倒的に多かったようですが、このことから推測すると、お客様の最大の興味・関心事は、「内藤選手が敵役の亀田選手をどう倒すか」という一点だったと言ってもいいでしょう。
このお客様の興味・関心の上においては、もはや「世界戦」という冠は、このコンテンツの「スペック」の一つにしか過ぎません。ボクシング関係者に言わせれば、「世界戦」という冠が重要なのかもしれませんが、究極を言えば、それは、お客様にとってはどうでもいいことなのです。
言い換えれば、お客様はボクシングというスポーツに名を借りた、筋書きのない人間ドラマの「ストーリー」を見たかったのであり、決して「世界戦」だから見たかったのではありません。実際に、他の世界戦では、視聴率10%以下のコンテンツもあるというのが現実です。必ずしも「世界戦」が売りになる時代ではなくなったのです。
■つくる側の「押しつけたいこと」、消費する側の「望むこと」
放送番組にかかわらず、一般の商品やサービスをつくる側は、様々な施策や仕掛けをもってお客様に受け入れられようと必至に努力します。しかし、いまだ多くの商品プロモーションで、つくる側や売る側視点の「押しつけがましい広告」が氾濫しているのも事実です。私は、様々な企業のコンサルティングを続ける中で、そのような広告に出会うと、声を大にして、「答えはいつもお客様にある!」とお伝えしています。
担当者がいろいろな施策や仕掛けを考えたにしても、結局、最後は「お客様」が判断するもの。差別化が難しい時代であればあるほど、これからの商品開発には、そんな「お客様視点」の取り込みが重要だと思うのです。
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小野寺 洋
株式会社JIMOS 通販広告研究所 所長/ビジネスディレクター
「効く広告」の研究とプロデュース、講演活動等を生業としています。 【略歴】 大学卒業後、出版社に入社。お客様と商品の“接点”開発に目覚める。 2005年より、株式会社JIMOSにて自社通販ノウハウを元にしたダイレクトマーケティング支援事業を行う。大手代理店にはない独自のアイディアや成功法則を武器に、広告をプロデュース。教育、食品、美容など、数多くの分野で成功を収める。 1973年佐賀県生まれ。佐賀大学理工学部卒。