「好き」を仕事にする、ではなく「想い」を仕事にせよ

2009.10.11

組織・人材

「好き」を仕事にする、ではなく「想い」を仕事にせよ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

キャリア・人生をたくましく切り拓く人は「想いを描く」ことをする。「好き」を仕事にする人には落とし穴がある。

私は、この状態を非難しているわけではありません。
私自身も学生時代は発想貧困な就職意識でした。
ドラッカーも指摘しているように、
あまりに過剰な選択肢の中から職業を選び取ることは、おおいなる戸惑いなのです。
『自由からの逃走』を著したエーリッヒ・フロムも、
「~からの自由」(消極的自由)を勝ち取るのに人類は勇敢に立ち向かったが、
「~への自由」(積極的自由)を最大限活かすことに人類は臆病であり、
うまくないと指摘しました。

さて、前回の記事で、
自分の登るべき山を見つけ出す(正確には、つくり出す)ことの重要性を書きました。
その際に、ともかく「もがいてみよ」とも書きました。

で、今回の記事のコアメッセージは、
やみくもにもがくのではなく、
「想い」の下にもがけ、さらば道は開かれん、ということです。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

キャリア・人生をたくましく切り拓いている人は、
間違いなく「描くことができる人」です。
(実際には誰しも最初から明確に描くことはできないので、
正確には「描こうとする人」「描くことに飽きない人」といった表現が適当かもしれません)

私がここで言う「描く力」とは、
具体的には「発想の展開力」と置き換えることができます。

例えば、自分が野球でもサッカーでもいいのですが、
プロスポーツ選手を目指しているとします。
実力と運に恵まれて、そうなれば一番よいのですが、プロスポーツの道も厳しいですから、
そう簡単になれるわけでもありません。
そして、事実、そうなれなかったとします。
あるいは、いったんはプロ選手になれたが、その後ぱっとせずに引退を余儀なくされたとします。

さて、そのとき、あなたは職業選択をどう考えるでしょうか――――?

体育会系で協調性があり、人当たりがいいから、営業の仕事に就こう。
あるいは、身体が頑丈なので作業現場の仕事なら大丈夫だ。
こうした直接的な自分の強みと即効性を結び付けて考えるのは、
けっして悪くはありませんが、通常の発想です。

しかし、もう少し発想を展開してみれば、
プロスポーツ選手に隣接する職業はさまざまに考えられます。
下図はその一例です。

自分の強みと追加技能や知識の修得を加えれば、
プロ選手を脇から支えるトレーナーやティーチングプロはどうだろう、
また審判員はどうだろうとなります。
また、興味・関心がつながるものとしては、
球団の運営やスタジアムの運営、スポーツメディアの仕事、
あるいは道具メーカーで商品開発などの仕事もあるでしょう。
もちろん、これらの職に就くためには、新たに勉強して身につけなければならない技能や
知識があります。
しかし、そうした努力はどのみち他の選択肢を採ったところでやるべきことです。

次のページその発想の根底に、あなたのスポーツへの“想い”が流れ続...

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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