人財育成をいたずらに分解的に、定量的に、分析的に、科学的に、合理的にやろうとすればするほど、個々の働き手は自分をひらく・キャリアをひらくたくましさを失くす。
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冒頭、次のシートを見てください。
私が研修でやっているワークのひとつです。
さて、あなたはこの空欄にどんな言葉を入れるでしょうか―――?
(これに関する解説は本記事の後半部分で)
◇ ◇ ◇ ◇
「還元論」と「全体論」という考え方が科学の世界にあります。
還元論は、物事を基本的な1単位まで細かく分けていって
それを分析し、物事をとらえるやりかたです。
人間を含め、自然界のものはすべて、
部分の組み合わせから全体ができあがっているとみます。
例えば西洋医学などは基本的にこのアプローチで発展してきました。
胃や腸などの臓器を徹底的に分析することで、
さまざまな治療法を開発するわけです。
他方、胃や腸など臓器や細胞をどれだけ巧妙に組み合わせても、
一人の人間はつくることはできない
全体はそれ一つとして、意味のある単位としてとらえるべきだ
というのが全体論です。
東洋医学は主にこのアプローチです。
この2つの立場は、どちらがよいわるいというものではなく、
バランスよく双方を取り入れて扱っていくのが賢明なやり方です。
しかし、現代文明は何かと還元論に偏重してきています。
何事も論理的に分解をして、分析的に、定量的に、デジタル的に、科学的に考えるのが
何かカッコイイ、合理性に満ちたアタマのよいやり方だという認識が広がっています。
私たちはビジネス現場ではもちろん、
日常生活までそうした還元論的な思考を進んで強要しようとしています。
しかし、
直感(直観)的に統合をして、俯瞰的に、定性的に、アナログ的に、信念的に考え行動することも
同じように大事なことであり、必要なことなのです。
(たとえ、合理的でなく、非効率であり、ときに不格好であったとしても)
◇ ◇ ◇ ◇
さて、私が携わっている人事・組織・人財教育の世界の話に入ります。
昨今の事業組織が、そしてビジネス世界がどんどん煩雑化するにしたがって、
一人一人の働き手たちは、
自分を、そしてキャリア(仕事人生)をたくましくひらくことができず、
ますます狭いほうへ狭いほうへ追いやられていく―――そんな状況が生まれています。
その大きな理由として、「還元論」的な価値観に基づく方法論の偏重があると思います。
例えば、私たちは優秀な人財をとらえる場合に全人的にとらえようとせず、
部分的な知識や技能の集合体としてとらえるようになっています。
つまり、 「人材スペック」なるものをこしらえ、
細かな知識要件、技能要件を設定して、
どのレベルでどれくらいの項目数をクリアしているかによって、
その人物を評価し管理しようとする。
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【キャリアを開く/拓く/啓くということ】
2009.11.23
2009.10.26
2009.10.11
2009.09.25
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。