FeliCa電子マネーのパイオニアとしてEdyを運営するビットワレットは、創業以来赤字経営から抜け出せずにいる。電子マネーの普及が進んでも黒字化が難しいのはなぜか? 同社CSO宮沢和正氏のインタビューを通して、ビットワレットの今とこれからを考える。[吉岡綾乃,Business Media 誠]
カードやおサイフケータイをかざしてお金を払う、非接触IC・FeliCaを利用した電子マネー。ここ1~2年で電子マネーは本格的に普及が進んでいるが、その先駆けである「Edy」を運営するビットワレットは9期連続赤字と苦しい経営が続いている。
電子マネーの普及が進んでも黒字化が難しいのはなぜか。ビットワレットはどのように黒字化を目指すのか――ビットワレットCSO(最高戦略責任者)の宮沢和正氏に、同社の現状と今後を聞いた。
最も普及している電子マネー、Edy
パイオニアだけあって、Edyは“もっとも普及している電子マネー”である。2009年6月にはカードとおサイフケータイを合わせた累積発行件数 5000万件を突破※、これは電子マネー対応Suicaの発行枚数(2710万枚)はもちろん、PASMOを合わせた発行枚数(4031万枚)をも上回る。
またEdyはカードだけでなく、おサイフケータイで利用されている電子マネーとしても、最も普及している。6月には累計発行数で1000万台を超えた。2番手であるモバイルSuicaの会員数は8月末に165万人を超えたばかりだ。モバイルEdyは累計で、モバイルSuicaは現在利用している会員数なので数え方は違うが、利用者数の差はそう容易には埋まらないだろう。
ユーザー数だけでなく、Edyを利用できる“場所”も順調に増えている。2009年度末にはEdyを利用できる場所は20万か所以上になる見込みだ。8月末にはマクドナルド全店がEdyに対応したほか(約3800店、参照記事)、10月以降はセブン-イレブン全店で利用できるようになる(約1万2000店、参照記事)。これにより、大手コンビニチェーンはすべてEdyに対応。「コンビニはどこでもEdyを使える、チャージできると分かりやすく訴求できるようになりました」(宮沢氏)
急増しているもう1つの要因はEdy対応の自動販売機が増えているためだ。(参照記事)日本コカ・コーラ自動販売機を中心に、2009年度末には約11万台の自動販売機がEdyに対応する予定となっている。
10年ごしの願いが実現した
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電子マネーパイオニアの苦境~ビットワレット「Edy」の今
2009.10.08
2009.10.06