阿寒湖に生息する特別天然記念物“まりも”をモチーフとしたキャラクター「まりもっこり(人の姿をしたマリモの股間がもっこりしているというゆるキャラ)」は、未だ、人気だ。 しかし、そのゆるーいエロブームにあやかって開発された秋田発の幻のマスコットキャラクター「きりちんぽ」は、非難が殺到。発売中止の憂き目にあった。 さて、どうしてなのか?
北海道発の「まりもっこり」は、自分の隠れた欲求に結びついたキャラクターとして捉えたから「許すハードル」は、極端に低くなって、受け入れられた。許すもなにも・・・前例のない『ゆるエロ』だったので、無自覚に受け入れられ、「ありか、なしか」「許すか、許さないか」の一般的ラインができあがった。
そこに、秋田発の幻のマスコットキャラクター「きりちんぽ」である。そういう二番煎じで儲けようとする社会や会社に対して、一挙に「許すハードル」は、高くなる。「これも、あると思います」と自嘲気味に言えばかわいいものを、、、素直に謝ったりするから、さらにバッシング。そうして、ないものになってしまったのだ。
若者たちの「小さな正義=許すハードル」は、どこで線が引かれているかは、明確ではない。きわめて曖昧で、感覚的だ。しかし、「あると思います」という一言で、その境界を上げ下げすることはできる。「ありか、なしか」「許すか、許さないか」の境界分析は、マーケティング視点で捉えても面白い。
では、世間一般的に「ありか、なしか」「許すか、許さないか」の境界は、どれくらいのシェアが必要になるのか・・・。面白い話しがあるので記載する。
京大霊長類研究所の正高信男氏(「いじめを許す心理 」 岩波書店)によると、「いじめ」の場合、「いじめを止める側」の人間が40%を超えると、その数は雪だるま式に増えて87%にまで至る、反対に40%を割り込むと、 「いじめを止める仲間」はどんどん脱落し、しまいには10%にまで下がってしまう、という例が挙げられている。
この数値を「臨界質量」と呼ぶらしいのだが・・・「ありか、なしか」「許すか、許さないか」の境界も、このあたりにありそうな気がする。「それって、なしだ」「絶対に許せない」率が40%を超えると・・・それは、バッシングになっていく。反対に、60%以上の人が「まぁ、ありじゃない」「許していいんじゃない」と考えていると・・・それは、『ゆるエロ』を許す土壌になっていく。
なので、『ゆるエロ』ブームの中の「あると思います」は、臨界質量を操作する魔法のワードなわけである。
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私的マーケティング論
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。