~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語 を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
【前号までのあらすじ】
海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか? 一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。 ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこでは、日本ではとても経験できそ
うにない体験が待っていた。
いったんホテルに戻って、丸の内重工の皆様をお連れして支店長宅
に着くと、夜の7時は過ぎていた。
もう既に酔っ払って赤い顔をした永井店長が上機嫌で玄関まで出迎
えてくれ、一行を30畳はあるであろう大きなリビングルームに通
してくれた。
リビングルームの中央の壁には、縦横3メーターはあると思われる
巨大スクリーンが鎮座しており、既に例の同期の両国が持ち込んだ
と思われるビデオが堂々と上映されており、その前の机には、宮田
が持ち込んだ日本酒がまるでお供え物のように大事に並べられてい
た。
< こ、これは、ここまでやったらちょっとまずいんとちゃう?
密告とかタレこみのリスクは無いんかいな? まー、日本人
だけみたいやし、ええのかな・・・ >
その部屋には、大日本商事テヘラン支店の駐在員20名ほどと、丸
の内重工をはじめとし、数社のメーカーの日本からの出張者の方々
がすでにずらりと勢ぞろいし、リビングのソファに腰を下ろして、
既ににぎやかに一杯やっていた。
「よう!宮田」
振り返ると、そこには懐かしい同期の両国の姿があった。
「こんなところで会うとはな。 元気そうじゃないか!」
お互いの入国審査での苦労話で花が咲き、イランへの出張目的なん
かで話が大いに盛り上がった。
宮田の所属している課の篠原由美子が人気があって、本社のビルで
いつも目の前に座っている宮田がうらやましいとか気楽な話題で盛
り上がり、また、遠い異国の地で気楽に話せる同期がいることで気
分も和んでいたところへ、永井支店長が突然立ち上がり、皆の前に
一歩進んで威勢よく切り出した。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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