日本一休みが多い会社はどこか、ご存知ですか? 年末年始20連休。夏休みとゴールデンウィークは各10連休。 祝日が木曜か火曜なら、中日を休みにして4連休。 その結果、年間休日は140日。 就業時間は、朝8時半~午後4時45分。 残業原則禁止です。 世の中にこんな会社があるのかと驚きますよね。
質問の答えは、メディアでも紹介されることの多い
「未来工業」
です。
ちなみに、「未来工業」という社名は、
同社創業者、山田昭男氏が若いころ結成した
「未来座」
という劇団からきています。
同社では、建物の電気工事に使う各種機器や工具等を
開発・販売しています。
直接の販売先は、主に2次問屋。
そこから、電気工事業者、ユーザーへと製品は流れていきます。
そして、最大の競合は、
“世界のナショナル”松下電工
です。
失礼ながら、未来工業は、
岐阜に本社を置く地方の中堅企業に過ぎません。
しかし、70-80%のシェアを誇る製品を多数有し、
経常利益率15%以上をキープしている
「エクセレントカンパニー」
なのです。
さて、同社が製造する「電気設備資材」は、
材質やつくり方(仕様)が、法律(電気用品取締り法)で
細かく決められています。
仕様を変えすぎると「法律違反」になります。
このため、どの会社も同じような製品しか作れない、
差別化のきわめて困難な事業分野です。
ところが、同社では、
「未来工業は、よそと同じものはつくらん」
と決めたそうです。
そして、法律で縛られた仕様の範囲内での細かい工夫、
すなわち「差別化」をとことん追求していったのです。
たとえば、壁の裏側に取り付ける
「スライドボックス」
という製品があります。
これには、従来「15ミリのビス」が付属していました。
しかし、壁が厚い場所があると15ミリのビスでは
取り付けられない。
このため、職人さんは、わざわざ長いビスを買いに
工具店に走っていました。
そこで、未来工業では、
「20ミリのビス」
を付けることにしたのです。
「長いビスがついているのは未来工業にしかないよ。
日本で初めてだよ」
「本当だ、それは買いたい」
というわけで、
みんな未来工業の製品を買ってくれるように
なったのです。
これこそ
「コロンブスの卵的アイディア」
ですねぇ。
しかし、こうした差別化の積み重ねが、
松下電工をも凌駕する製品開発につながっています。
私が興味深いと感じたのは、
山田昭男氏の次の言葉です。
“ある日突然、差別化しろといってもできるもんじゃない。
ものづくりという本番に向けて「常に考える」という
スローガンのもと、あらゆるものを差別化し、訓練を
しておく。芝居と一緒で大切なのは稽古だ”
なるほど。「差別化の訓練」ですか。
休日が長いのもその差別化のひとつですね。
同社内には、
「常に考える」
というスローガンが、階段の踊り場、廊下の壁、
防火扉など、10メートルごとに貼ってあります。
次のページ「常に考えること」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2007.12.18
2009.02.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。