~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語 を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
あー、今日はなんと素晴らしい日であろうか!
イスラム諸国の中でも、特に戒律の教えに忠実で厳しいこのイラ
ンの聖地に、日本の二人の勇気ある若者が、危険を承知で素晴ら
しいものを持ち込んでくれた。
これはテヘラン店にとって歴史的な日となることだろう。
さー、さー、今日はもう仕事は終わりだ!
早速仕事を切り上げて、我が家で丸の内重工の皆さんもお呼びし
て、盛大に大日本酒+大ビデオパーティをやろうではないか!」
永井支店長はその場で失神してもおかしくないくらい興奮しきって
叫んでいた。
永井支店長の普段の生活が相当抑圧されたものであることは容易に
想像できた。
< あー。 アホちゃうか。このおっさん・・・。 こういう
環境でこんだけ駐在してると、こうなるんかいなー。 こー
だけにはほんま、なりとうないわ。絶対。 そやけど、ちょっ
と可哀そうな気もする・・・ >
支店長宅は、1000坪はあろうかという大豪邸で、日本企業の支
店長クラスはほとんどがこの手の大邸宅を会社資産として所有し住
んでいた。
支店長宅は、運悪くイランの最高指導者ホメイニ氏の自宅に程近い
ところの豪邸街にあった。
これが影響してか、支店長宅の周りには多数の瓦礫の山と大きな穴
が無数にあいていた。
支店長宅の周辺が荒れている理由は明快だった。
テヘランの町のすぐ北には5671mもあるダマヴァンド山という
主峰を筆頭に4000mから5000m級の大きな山脈が連なって
いる。
ホメイニ氏の自宅を狙って空爆を仕掛けてくるイラク戦闘爆撃機は、
まず急降下してホメイニ氏宅を狙ってピンポイントで爆弾を落とそ
うとする。
だが、直前にそびえるこの巨大山脈が邪魔して、降下体制を長時間
維持できずに仕方なくホメイニ氏の自宅の手前で爆弾を早めにリリ
ースしまうのであった。
その理由は、そのまま低空飛行を続けていると戦闘機が山脈に激突
してしまうということであった。
従って、仕方なく早めに落としてしまう場所がちょうど支店長宅の
ある場所にあたっていたので、全く会わなくてもいい爆撃の被害を
受けていた。
だが奇跡的に支店長宅への直接的な被害は免れていた。
いったんホテルに戻って、丸の内重工の皆様をお連れして、ぼこぼこ
の道路をタクシーで進み、やっと支店長宅に着くと、夜の7時は過ぎ
ていた。
次回へ続く。
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