~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
初めてみる中東の街中は、オートバイや車が多数走り回り、歩道に
は多くの露店や通行人であふれかえってにぎわっており、とても戦
時中とは思えないほど活気に満ちていた。
もっと暗いイメージをもっていた宮田は逆に平和な感じがする街中
を見て拍子抜けした。
< なんか生まれ育った大阪みたいな活気やな・・・ >
宮田がチェックインしたホテルは、テヘランでも有数の高級ホテル
であった。
ロビーの大きな壁一面には、
「打倒!アメリカ。 打倒!イラク」
という巨大な垂れ幕が掛けられている以外は豪華でゆったりしたロビ
ーをもった快適なホテルであった。
入国審査での大仕事の緊張感から開放された宮田は、長旅を癒そう
としてロビーのゆったりした豪華なイスに腰掛けてゆっくりとくつ
ろいでコーヒーをすすっていた。
< あー。 うまー・・・ >
その時、突然7-8名の男たちに囲まれた。
全員が、重機関銃を持った屈強な兵士と思わしき連中であった。
全員が宮田を上から目線でじーっと睨みつけている。
< な、なんや、なんや、今度は?・・・ >
彼らは、宮田の回りを丸くガードするように取り囲んだあと、驚く
宮田にこう言った。
「宿泊客か?」
「え?・・・。 そうだが・・・?」
「国籍は?」
「日本人だ」
「我々は革命防衛隊のものだ。 お前の服装には大きな問題がある。
イスラムの戒律では、男も足や腕を出してはいけないということ
は当然知っていると思う。 従ってすぐに長袖、長ズボンに着替
えてもらいたい!」
< なんや、なんや。 こいつら。 偉そうに。 何様のつもり
じゃい! >
イランには、正規軍と革命防衛隊という2つの軍が存在する。
革命防衛隊という組織は、革命の指導者といわれる、故ホメイニ師
が創設した軍事組織で、兵力は12万5千人を誇る。
兵員数では、35万人の正規軍には劣るものの、弾道ミサイル部隊など
の戦略部門を所有し、また、傘下には民兵組織バンジ(人民動員軍)
を持ち、後に核開発などや対外工作にも関与しているとされており、
イスラム最高指導者が権力を維持するために必要不可欠な最後の砦
的直轄軍事組織という位置づけを持つ、とてもとても怖い組織である。
パーレビ王朝でタガが緩んだイスラムの教えを厳格に元に戻し、それ
を監視するというミッションを持っており、いわば旧日本軍でいうと
ころの「憲兵」のような存在のような軍事組織であった。
日本酒を大量に持ち込むような、呑気な宮田がそこまで知る由もな
かった。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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