~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者のドロドロの商社マン生活の実体験をベースに、小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
突飛な提案は受け入れられない。日本非鉄金属だからこそのビジ
ネスの潮流がある。
その先のニーズを探さなくてはダメだ。
さらに最後には大日本商事が大型プラント・設備受注に結び付く
ようなシナリオでないといけないと考えていた。
色々資料は集まってきた。
ある日、集めてきた資料を前ににして頭を抱えていた
ところ、入社したての頃赤坂での食事に誘ってくれた
マイクが声を掛けてきた。
マイクは、その後もコーチ役として宮田をコーチングしてくれて
いる。
「やー、相変わらず頑張っているようやね。
どないですか?」
< 相変わらず、関西弁はこの兄ちゃんにはミスマッチやな・・ >
ハンガリー向けアルミ鋳物部品プラントの入札のため一ヶ月近い
海外出張から帰国したばかりのマイクが、例によって優しくて奥の
深い包容力のある青い目を輝かせながら、宮田を見て微笑んでいた。
宮田は、一緒に仕事上で組んでおり、人事上いわゆる指導員と位置
づけられている関には、どうしても自分の弱みを見せたくないと
思うのか、素直に色々聞けないのだが、このマイクにはいつも本音
で困ったことは相談してみようという気になっていた。
宮田は自分が抱えている課題、日本非鉄金属工業のニーズという
壮大なテーマで行き詰っており、いい方向性が出ないで悩んでいる
と相談してみた。
「宮田君。ええ質問やね。
あんた、マーケティング志向で取り組んでいるようで、
ほんまええわ! 実にええね」
マイクは、宮田の机の上の資料の山をちらっと見て
さらにこう続けた。
「相当資料を集めたようやね。 そういうときは、
ここは一旦、木を見て森を見ずとならんように、敢えて
大所高所で物事を見てみてはどうやろ?
自分も枝葉に入り込んで森が見えなくなったときに
ようく使うんやけど、単純やが使いやすい考え方が
ありまんねんで。
{What we have done}
{Where we are}
{To where we have to go}
という3ステップで考えてみてはどうやろ?
日本非鉄金属は、今までの歴史で何をしてきはった
のか? その結果いまどこにいはるのか?
これからどこに向かおうとしはってるんか?」
「商社マンは、鳥の目を持って、俯瞰的に市場を眺める。
それと、虫の目も併せ持って繊細で細かなことに注視する。
それに加えて大事なのが魚の目や。 足にできるイボのこと
とちゃいまっせ。 魚は潮目を読むことができる。
大海を流れる大きな潮流や。
これに乗れるかどうか。商社マンも潮目を読まなあかん。
そのためにはさっきの3ステップで、流れをつかまなあきません
のや」
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商社マン しんちゃん。 走る!
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