大流行の様相を見せている「下取りセール」。その中でもユニクロの「全商品リサイクル活動」が飛び抜けて素晴らしい。
でも、結局まだ着られるのに、リサイクルに出すって、家電やクルマに対する抵抗感と変わらないんじゃないのか?という点も大丈夫なのだ。
リサイクルに出された衣料は、発電用燃料としてリサイクルされたり、断熱材や工業繊維としてリサイクルされたりもするが、90パーセントはタンザニア、ウガンダ、エチオピアなどの難民キャンプに寄贈しているという。つまり、9割は「リサイクル」ではなく、「リユース」である。環境負荷の元凶にはなっておらず、人助けができているのだ。
「あなたにとって不要な1枚が、誰かにとって必要な1枚となる」。
「全商品リサイクル活動」のコピーである。考えてみれば、これってスゴイことではないだろうか。
「誰か」って、地球の裏側にある難民キャンプで暮らしている人々なのだ。貧しく厳しい暮らしをしている無辜の人々に、自分たちができることは少ない。せいぜいがポケットの中の小銭を募金するぐらいだろうか。それが、自分のお古の衣類を提供するという直接的な貢献ができるのだ。
<いま、世界はますます「スモール化」「フラット化」が進んでいます。フラット化されたことによりグローバルに統合された世界では、遠く離れた地域で起きる事象も、私たちの日々の生活に大きく影響を及ぼします。つまり、経済的に、社会的に、技術的に、世の中は今、相互につながっているのです。>
これは、IBMが新たに掲げたコーポレートビジョン「SMARTER PLANET」を説明するコピーの冒頭だ。
IBMが言いたいこととはちょっと違うけれど、世界のスモール化は我々の衣料を地球の裏側まで届けてくれることにつながり、難民キャンプの人々が我々と同じユニクロの服を着ているというフラットさが実現されている。
活動の様子を伝えるフォトリポートで紹介されているエチオピアの若い男性は、筆者が持っているのと同じ、赤いポロシャツを着ている。人とユニクロの服がかぶることを、最近では「ユニかぶり」というそうだが、こんなかぶり方はむしろうれしくなる。
しっかり自社のビジネスにも貢献して、継続性を確保している素晴らしいCSR。ユニクロのスマートさには脱帽である。
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。