「トランジション」とは、節目、転機であり、キャリアの移行期のこと。 従業員が主体的に社内キャリアの転機を乗り越えるには?
理不尽な昇進チャンス
Aさんは、消費財メーカーに勤務する35歳。
この春の異動で4年ぶりに営業推進部から古巣の商品企画部に異動となった。
ここ数年の営業推進部での経験を活かして、新しい商品開発のアイデアを持ち込んでやる気満々。
Aさんは、8年前に異業種から転職してきて、当初の4年間は商品企画部に所属した。
転職当初は、業種も職種も変わったことから苦労も多かった。
前職で企画系の仕事をしていて企画力には少し自信があったが、転職先の配属部署はいわゆるエリート部署で、先輩は社内でも有数の実力者が集まっていた。
「これは、ついていけない。まずいかも・・・」
先輩との知識、経験の差は歴然で、完全に周回遅れ状態である。
1年間はほとんど見習い状態だった。
しかし、なんとか3年間がむしゃらに頑張って、30歳になった頃にやっと自分のポジションが見えてきた。
そんな時、当時の上司から「一度、営業サイドからビジネスを考えた方がいい」と言われ、4年間は営業サイドから商品企画を見てきた。
その視点転換がブレークスルーの要因となり、商品企画のアイデアがどんどん湧いてきた。
周囲からも「一皮向けたね」と言われるようになり、社内での評判も徐々に高まった頃である。
商品企画部に異動して2日目の朝、人事課長から面談に呼ばれた…
「営業一課の新任課長に決まっていたKさんが、急に退職することになった。新体制は来週からだが、君に後任をお願いしたい。時間がないので、申し訳ないが、今日の昼過ぎに返事をもらいたい。
急な話なので、断るという選択肢もある」
「えっ! 営業一課の課長ですか? 来週から?」
Aさんは管理職未経験であり、営業一課はAさんにとって専門外の商品を販売する部門である。しかも、メンバーのこともほとんど知らない。
Aさんは既婚で妻も同じ会社の正社員として働いていて、子供は2歳の娘が一人。
あなたが、Aさんだったらどのような意思決定をするだろうか。
まさしくキャリアの分岐点であり、今後の人生にも大きな影響を与える。
このような状況で個人としてキャリアを考えて意思決定する際のポイントを整理しよう。
成果主義人事制度への移行が進み、「組織内プロフェッショナル」の人材像を組み込んだ人事(資格等級)制度が主流となっている。
プロフェッショナル人材を前提とした資格制度は、ピラミッド型の単線キャリアパスのみではない。
管理職以外のキャリアパスがあるということである。
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2007.08.22
2008.02.17
増田 崇行
株式会社クエストコンサルティング 代表取締役
2006年5月に株式会社クエストコンサルティングを設立しました。 組織人事領域におけるプロデューサーとして、クリエーターとのコラボレーションによりユニークなサービス、ビジネスを開花させてきました。今後も「Quest for the Human Brightness」をコンセプトとして、インパクトのあるサービスを開発しご提供することで、人と組織の本質的価値の向上に貢献できたらと考えています。