女子中高生のなりたい職業に「キャバクラ嬢」がランクインされているというニュースが流れたのは最近のことだ。 その現象を、バカな話だと一笑に付していいのか?ニッポンのギャル文化の底力について考えてみる。
消費社会と訣別するギャル文化。
2009年現在、ギャル文化のパワーは、対抗文化であるという論の枠を越えて、アジアを席巻しつつある。例えば、タイのバンコクをはじめとするアジアの都市を席捲している「なんちゃって制服」と呼ばれる、制服そっくりの私服を着て通うトレンド。これも、日本発だと言われるのだが、かつての優等生=制服に対する不良のスケバンファッションの流れとはまったく違う。
「女子高生だから着られる内に着ておかなくちゃ」という「女子高生による女子高生コスプレ文化」と捉えた方が良さそうだ。ギャル達が、自分の限られた時間をいかに有効に活用するか・・・。その想いは、経済合理を追い求めて停滞する社会経済を尻目に、純粋に、グローバルに、増殖しているのだ。
昔のように、管理教育への対抗としてギャル文化が隆盛しているわけではない。もっと大きな流れの中で、もっと大きな対抗現象は、起こっている。
世界的な金融危機の影響を受けて日本の消費市場は、縮小している。今後を見通しても、少子化で人口が減っていく現実を考えると、「消費大国・日本」であり続けるのが困難であることは明白だ。このような消費時代の終焉に、桃華絵里や益若つばさ等々のカリスマギャルが生まれてくるのは、とても必然的である。
「小悪魔ageha」(09年3月号)の表紙には、「生まれたときから日本はこんな感じで今さら不況だからどうとか言われてもよく分からない」というフレーズ刻まれている。過去の栄光を引きずり、まだ、経済は右肩上がりで成長すると信じているおっさん達とは、そもそも立ち位置が違う。むしろ、ギャル達の方が逞しい。
日本のブランド品市場が、景気悪化とともに一気に萎んでいる。しかし、ギャル達は、最初から、そんなもの眼中にない。限られた時間の中で、しかも少ないお金で、自分たちで、自分たちのファッションをするしかないじゃんという潔さがある。「生産」を大義で捉えて、クリエイティブもその中に含まれるとしたら、それは、「消費」ではなく、間違いなく 「生産」である。ケータイとともに生まれた等身大の「手のひら消費市場」へ、等身大のギャル達が「手のひら生産」でコンテンツを提供していっている。ギャル達が牽引するキラキラのデコ文化は、自立であり、「大人の消費社会」への訣別の印である。
ノギャルの出現。
ギャル達は、従順な大衆ではない。むしろ、従順な大衆を覚醒させる気付け薬である。その代表に、藤田志穂というギャル文化を引っ張ってきたカリスマがいる。
彼女は、ギャル革命を掲げ、次の4つの目標を胸に、会社を立ち上げている。
1.「会社を立てて成功する」
2.「大人からのギャルの目を変える」
3.「自分の夢を最大限に実現する」
4.「世の中のギャルの背中押しをする」
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。