音楽配信事業とよく似た構造を持つ市場でありながら、なかなか普及が進まない電子書籍事業。普及するためには何が大事なのか。電子書籍の妥当な価格や望ましい端末の姿、ファイル形式を検討し、電子書籍の未来を考える。 [森田徹,Business Media 誠]
ここでまた違法配信の倫理問題についてゆっくりと議論していると、著作権についても自由の国である米国に先を越されることは想像に難くない。 AmazonにApple……グローバルなライバルは多い。それに、端末で稼いでデータ配信はオマケというビジネスモデルでないと、1データ数十円という低流通コストは実現できないだろう。これもなかなか厄介なところだ。
端末自体に必要とされる技術は、E inkを筆頭としたモノクロ電子ペーパーの台頭でかなり良いところまできている(電子ペーパーの視認性は液晶モニタよりはるかに優れている)。さらに、数日前にはカラー電子ペーパーがようやく普及品として出回ることになったようだ。先行きは明るい。
ところで、「Safari Pad」ともウワサされるAppleの新しい電子端末、ウワサの1つに電子書籍端末かもしれないというものがある。iPhoneが「Apple Reinvents the Phone(Appleが電話を再発明する)」だったから、今度は「Apple Reinvents the Book(Appleが本を再発明する)」だろうか。グーテンベルクによる活版印刷の実用化以来の本のReinvent、これはこれで期待したいことの1 つである。
書籍出版点数の増加に見られる質の低下(活字の劣化)や再販制度・委託販売制度、現在の取次構造やパターン配本の問題点など、語り残したことは多いような気がするが、論拠はとにかく電子書籍について書きたいことは書けたので筆者は満足している。コラム「現役女子大生のキャバ嬢に学ぶ! プロフェッショナルなトーク術」があまりに週刊誌的な内容だったので、ここ2回は「かしこいフリ」の連載タイトル通り論文テイストの記事にしてみたのだがいかがだったろうか(最後で論文テイストから逸脱してしまったが……)。
<関連リンク>
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