リンガーハット・・・体感価格の読み違い

2007.07.23

営業・マーケティング

リンガーハット・・・体感価格の読み違い

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

「長崎ちゃんぽん」 って、九州以外の方にはあまりなじみのない料理だと思います。 うどん、そば、ラーメンのように どこでも食べられるものじゃないですからね。

でも、福岡生まれの私にとっては、

「長崎ちゃんぽん」

は、小さいころから
うどん、ラーメンと同じくらい慣れ親しんだ味です。
(「そば」は年に1回、年越しそばの時に食べるくらいでした)

ですから、18歳で東京に出てきてからも、
渋谷や銀座にあるチェーン店の「リンガーハット」に
わざわざ足を運んでいました。

今は、事務所から近い御茶ノ水店ができたので、
週1ペースで通っています・・・(^_^;

さて、リンガーハットは、
昨年(06年)9月に若干の値上げをしたんですが、
以来、客数の落ち込みが激しく業績悪化に苦しんでいます。

値上げ前のレギュラーちゃんぽんの値段は、

399円(税込み)、値上げ後は450円。

海鮮、肉、野菜がたっぷり入った健康的でおいしい料理が
400円未満で食べられるのは格安。大変お得でしたし、
値上げ後の450円でも十分安いと思いませんか?
(逆に、具がちょこっと乗っただけの普通のラーメンが、
 東京では600円以上するのが信じられません・・・)

リンガーハットの経営陣も、
「450円でも通用するだろう」という自負があったようですが、
ふたを開けてみたら大誤算!

今、慌てて割引クーポンを発行して客を呼び戻そうと
がんばっています。

まあ実際に、ひとりのユーザーの立場で考えると、
約400円から450円への値上げというのは、
絶対的な価格としては安いけれど、値上げ率は10%以上に
なりますから、「体感価格」としては「大幅値上げ」です。

リンガーハットの場合、味のおいしさだけでなく、
安さに惹かれていたユーザーも多かったと思いますから、
この価格差の大きさが客足を遠ざけることになったのでしょう。

リンガーハットの誤算は、
「プライシングの難しさ」を教えてくれますよね。

絶対価格じゃなくて、
元の価格(基準価格)との相対的な差が重要だ

ということをうまく読めなかったということでしょう。

まあ、後付け講釈ですから
いくらでももっともらしいことは言えますけど。

私の場合は、値上げ後もリンガーハットに
足繁く通ってますから多少の批判はお許しを!

大好きなリンガーハット、がんばれ!

余談ですが、マクドナルドは、
今年(07年)6月から地域別価格を導入してますね。
東京では3-5%の値上げ。

当初、ユーザーに受け入れられるか心配されましたが、
あまり客足に影響は出ていないようです。

マクドナルドの場合、かなり綿密なシミュレーションに
基づいて地域別価格を決定したようです。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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