『ロフトワークドットコム』はクリエイティブのインフラサイトである。抱えるクリエイター数は1万人あまり、そのクリエイターをクライアントと結ぶのがロフトワークのプロジェクトマネジャーだ。単なるマッチングではなく、プロジェクトマネジメントを付加価値とするロフトワークのシステム、その背景にある考え方を紹介する。
創造力が勝負となるクリエイティブに、定型的なプロジェクトマネジメントが果たして馴染むものなのか。もう少し正確に表現するなら、コーディングなどの作業があるウェブ制作ならまだしも、デザインワークがメインとなる会社案内などの製作過程で、プロジェクトマネジメントとは一体どのように機能するのだろうか。
「PMBOKをベースに、ロフトワークならではの方法を作り上げました。それからですね、仕事が順調にまわるようになったのは。また、案件の9割以上はクリエイターさんと顔を合わさずに仕事をしています。相手が男なのか、女なのかも知らないまま。それでも全然、問題ないんですよ」
にわかには信じられない話である。クリエイターと面と向かって話すことなしに、デザインの微妙なニュアンスについて意思疎通を図ることができるのだろか。
「そのためのプロジェクトマネジメントなのです。成果物と成果物を生み出すプロセスをきちんとロジックで固めているから、まず問題は起こらないですね。逆にいえば、それくらいのレベルでプロジェクトマネジメントしていることが私たちの最大の強みでしょう」
クリエイターとクライアントが顔を合わすこともない。といえば中抜きを恐れてのことかと勘ぐってしまうのだが、それも違うようだ。
「クリエイターとクライアントが直接顔を合わしてしまうと、中抜きされますよ、と注意してくれる人がいました。でも、私たちは間に入る意味があるから入っているのであり、我々が必要ではない場合は、直接やりとりしてもらえばいいのです。この場合、我々には存在意義がなかったということだから」
結果的に抜かれることはまずないという。これこそロフトワークのプロジェクトマネジメントが的確に機能している証であり、クライアントが評価しているからだろう。プロマネは判断基準と成果物を基本設計の段階で明確に言語化する。だからクリエイターとのやり取りはメールだけで十分なのだ。
「このシステムは地方のクリエイターさんにとても喜ばれていますね。これまでなら地の利のある東京のクリエイターに集中しがちだった最先端の仕事を、ロフトワーク経由なら受けることができる。純粋にクリエイティブで勝負できるわけですから」
だから全国各地からクリエイター登録が殺到するのだ。ロフトワークドットコムに登録すれば、受注に際して地方にいるハンディはない。とはいえ総数1万人を超える巨大なコミュニティサイトを維持していくためには、相当なコストがかかるはず。それペイするだけの案件を受注できているのだろうか。
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FMO第22弾【株式会社ロフトワーク】
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