この激悪不況下にあって、今期で実に22期連続で増収増益決算となりそうな企業がある。家具のニトリである。北海道創業という地理的ハンデを抱えながらの成長要因は何だろうか。
ニトリの憲法では4番目となっているが、そこで語られる「適正な品質」は当然、日本人のクォリティレベルを満たしたものとなっているはず。それで安いのだから、逆に考えるなら売れない方がおかしいのだ。
さらに同社は単なる製造小売ではなく、製造と小売の間にわざわざ「物流」を挟んでいる。家具類は品物がかさばるだけに物流面でのコスト削減効果は大きいと見たわけだ。自社物流、倉庫管理にも徹底的な合理化を図る。その結果、倉庫面積をまったく変えずに保管量を15%もアップした。当然、倉庫コストも大幅に下がるだろう。
逆算経営で家具のユニクロを目指す
ニトリの特徴的な経営を表す言葉が「逆算経営」である。つまり企業の将来像をまず定めて、そこから逆算して成長計画を作る。これはワタミグループ社長・渡邊美樹氏のいう『夢に日付を』と基本的には同じ考え方だろう。
ニトリがいま定めている計画によれば、2012年には400店舗、売上3800億円となる。現時点では国内で182店舗を抱え、売上は約2200億。もう3年先に迫ってきたこの目標達成のメドはおそらくついているのだろう。
無事に目標を達成できれば、次なる目標が控えている。さらに10年後、2022年には全世界で1000店舗、売上1兆円である。ユニクロよりペースは遅いものの、世界での売上目標1兆円は奇しくも同じ。ユニクロ型(というか正確にはニトリの方が中間物流まで自社管理下に置いている分、より効率的という判断もあり得る)SPAモデルが今後、どのような成長曲線を描くのか。
実に興味深いところだ。
※日経MJ新聞2009年2月23日付1面記事を参照しました
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