振り込め詐欺グループが逮捕されると、手書きのスクリプトが出てきますね。パソコンで作ると足がつくからでしょうか?それとも流出して対策が打たれてしまうからでしょうか?そのスクリプトを見ると、コールセンターの電話営業ノウハウが活かされていると思うのです。
「ここで、部屋を走りながら出る。もしお客さんが何か言っても振り切って必死で店長部屋へ向かう」とか、普通に書きます。
スタッフは店長部屋では、店長にシチュエーションを報告しながら、スクリプトを確認しているんですけどね・・・。
私が自分の作るスクリプトで「悪質だよな、私は・・・」と思うのは、普通の言葉を使ってスクリプトを構成しつつ、その会話の中で操作系の暗示を叩き込むようなことをやっているところですね。まあ、ノウハウといえばノウハウですけど。
悪質な会社は、ぎりぎり嘘でない表現をしたり、いや、ほぼ嘘確定なことをスクリプトに書いています。
例えば、消費者金融系のコールセンターでは、融資したお客様と定期的にコミュニケーションをとって、貸し倒れリスクを把握し、リスクを最小化する施策を打ちます。
電話でこのお客さんやばいな、ということがわかると、「~な指導が~省からございました関係で、限度額の再設定をさせていただきまして、~円とさせていただきました。」と言ったりしますね。
まあ、省庁の指導の有無はね、そりゃ、指導はあるだろうけど、このお客さんの限度額とは関係ないのですけどね。
もっともらしい理由を言うとお客さんは納得してしまうということを利用したスクリプトです。でも、こんなスクリプトはかわいいほうです。演出炸裂なスクリプトもあります。いや、私も作ったことあります。
例えば、私も「ここで上司と話すフリ」とかいう注意書きも普通に書いたことあります。上司と調整している演出ですね。そのほうが相手への説得力が増すなら、そうします。商売ですからね・・・。
こういうノウハウを持っている人が犯罪に行くと、そりゃ、一般人はイチコロですね。というか、法人営業で契約にこぎつけるためのノウハウを一般人に使ったら、しかも深刻なシチュエーションでやったら、そりゃ簡単でしょう。儲かりますよ。
ここにマーケティング、セールスナレッジの二面性というか、そういうものがありますよね。
科学が核兵器を作って、人を殺せるのと同様、ビジネスナレッジも、いたいけな老人を騙し、お金を搾り取ることができてしまうんですよね。
セールスの駆け引きの中で、ギリギリ嘘で無いお話しなら、グレーですけどね。いや、正直、真っ黒だと自分でも思っていますけどね。
いろいろな人間心理メカニズムを組み込んだ結晶としてのスクリプトを書き続けていますが、いい商品であれば、そして、お金ある人に売るならいいんですけどね。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。