ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。
最終回
「ヨセミテはでっかい机である」
■インターネット時代の働き方
「毎週水曜日は、どこでもオフィスの日なんですよ」
どこでもオフィスとは早い話、仕事を会社でやらなくてもいいということ。各自が好きな場所で仕事をする、だからどこでもオフィスというわけだ。
「ネットにつながる環境でさえあれば、仕事ができる体制は整えています。資料はすべてデータ化してあるから、どこからでもアクセスできる。朝一番にスカイプを使って朝会をやったら、各自が自分のペース&スペースで仕事をやればいいわけです。もちろんセキュリティには充分な配慮をしていますよ」
となると、どうやって管理するのか。とつい考えてしまうが、そもそも管理が必要なのかをヨセミテは問うのだ。
「スタッフに求めているのは、自律と参加なんです。誰かから命令されるのではなく、自分がやるべきことは自分で考えてコントロールする。それが理想でしょう。だからうちは本来、オフィスに出てくる必要がない」
といって対面コミュニケーションの効果を否定しているわけではもちろんない。顔を合わせて話をする中から生まれてくる何かを重視するのもヨセミテ流なのだ。
「オフィスの机、でっかいでしょう。あのまわりに何となくみんなが集まってきて、思い思いに仕事を進める。進めてるんだけれど、何か相談したいときにはちょっと顔を上げるだけで、誰かが答えられるじゃないですか。時間を決めて会議をするのもいいけれど、自然な流れの中で生まれてくるコラボレーションも大切にしたいですね」
ネット時代の働き方は、ネットナシの世界とは違って当然。さらにはデジタルネイティブ、物心ついた時からネットありきを当然のこととして生きてきた世代ならではの職業観を具体化しているのがヨセミテなのだ。
「仕事って、やらされるものじゃないと思う。そんなの楽しくないし。だから自律なんです。どこでもオフィスにしても、サボろうと思えば誰も見てないのだから、いくらでもサボれるわけです。ただ、サボるのは、サボりたいと思う気持ちがあるからですよね」
深い言葉だ。スタッフがみんな自律していれば、そもそもサボるという発想そのものがあり得ない。さらに突っ込むなら、自分の適性に合っていて、自分がやりたい仕事を、自分のペースで進めることができる、しかもチームの中での役割を明確に意識しながら。これが津田氏のいう自律であれば、サボるメンバーなど一人もいないだろう。
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FMO第19弾【株式会社ヨセミテ】
2009.02.03
2009.01.27
2009.01.20
2009.01.13