ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。
第3回
「闘病者を支援する『オンライフ』」
■患者さんをエンパワーメントする
「世の中をできる限りフラットにしたい。これまでのようなピラミッド型ヒエラルキーの階層社会じゃなくて」
ネットを使えば世の中を良くできる。たとえばこれまでなら声なき声におわってしまっていた消費者の声を、コストをかけずに大量にまとめることができる。どこかにあることだけはわかるけれどもアクセスする手段の持たなかった情報も簡単に手に入るようになる。
「情報収集、発信などを自由に、誰もができるようになれば世の中が変わりますよね。そうなれば結果の平等こそ努力次第だけれど、少なくとも機会の平等は確保できる。ネットはそのためのプラットフォームとして機能するのです」
ところで公共サービスの中でもなぜ医療を最初に取り上げるのだろうか。ビジネスとして考えるなら、法規制の厳しさは相当手強い障壁となるはず。成功事例を創ることに徹するなら、教育分野などの方がもっと手を付けやすいだろう。
「調べてみてわかったのが、自分の病気について情報を発信したり、誰かから励まされたりしたいというニーズの強さ。どの病院がいいのかを知りたいし、同じ病気と闘っている人と知り合いたいと思っている。だからみんな、いろんなブログサービスや掲示板を使っています。でも、それらは病気に特化したものではないから使い勝手が悪い。そしてどちらかといえば明るい話題ではないので、普通のサイトにはそぐわない雰囲気がありますよね」
そこにユーザーの『不』があったわけだ。不便、不具合、不自由などがあるところビジネスチャンスありは絶対的な真理だろう。
「闘病者やその支援者のために特化されたサービスを作ったら、きっと使ってもらえる。確信はありますね」
もとよりヨセミテの創業メンバーの誰かが医療にバックグラウンドを持っているわけではない。あるいは親類縁者の誰かが闘病生活を送っているわけでもない。
「人の命が懸かっているのだから、ニーズもシリアスですよね。ということは、僕らもそれ以上に真剣にサービスを提供しなければならないのです」
シビアなフィールドだからこそサービスの真価が問われる。最初に簡単なところで安易な成功を求めるのではなく、あえて厳しい環境でチャレンジするのがヨセミテ流なのだ。
■ビジネスモデルはサプライヤー支援
「サービスに必要な機能は4つ。情報の収集整理、商品の比較検討、情報の発信・共有、そして交流ですね」
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FMO第19弾【株式会社ヨセミテ】
2009.02.03
2009.01.27
2009.01.20
2009.01.13