ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。
言われてみれば、その通り。医療系では富裕層の医者をターゲットとしたネットサービスはあるものの、患者サイドのニーズをすくいあげるサービスはほとんどない。介護しかり、教育も似たような状況だ。
「一方でエンターテイメントやビジネスの分野なんて明らかに過当競争でしょう。その理由はよくわかるんです。たぶんやっていて楽しいし、お金もそれなりに動くことがわかってる。ところが公共サービスは自由競争じゃない。消費者が税金でお金を国に預けて、国が政策に基づいて還元していきますよね。法や規制の制約が厳しくかかる。勢い競争が起こりにくい」
競争がないと人は、どうしても易きに流れ、流れは淀む。ユーザー視点がなおざりにされる恐れがある。不利な状況に置かれているユーザーに力を与えるにはどうすればいいか。そこでネットの出番となる。
「ユーザーサイドのニーズは必ずあることがわかった。にも関わらずいろんなハードルがあるから、ユーザーをサポートするプレイヤーが出てこない。すごいチャンスだと思いました」
幸い津田氏には資金力がある。自己資金でビジネスを立ち上げれば、長期的な視点で展開できるだろう。
「しかも僕たちにはITスキルがある。フォートラベル、楽天で培ってきたノウハウもある。チャレンジするかいがあると思いました」
2007年6月、フォートラベルを退社した津田氏は、次の展開プランを半年かけて練り上げる。その過程で見えてきたのが、新しいビジネスを組み上げるのに欠けているピースだ。
「僕はサービス創りがとことん好きでそこに打ち込みたい。同時に組織創りまで一人でやるとなると効率が落ちる。そこで出逢ったのが塚田なんです。彼はミクシィに創業期から関わってきて、ちょうど同じタイミングで新しいことをやりたいと考えていた。そして塚田が何より得意なのが組織を創ることでした」
ベストパートナーを得た津田氏は2008年1月、ヨセミテを起業する。
▲インタビュー風景
代表 津田全泰氏(真ん中)、副社長 塚田寛一氏(右側)
インタビュアー竹林篤実氏(左側)
⇒次回「闘病者を支援する『オンライフ』」へ続く(全四回)
◇インタビュー:竹林篤実/川村真理 ◇構成:竹林篤実
◇フォトグラファー:村山裕章 ◇撮影協力:㈱オンボード
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FMO第19弾【株式会社ヨセミテ】
2009.02.03
2009.01.27
2009.01.20
2009.01.13