日本初:ヨセミテがネット公共サービスに取り組むワケ(津田全泰)1

2009.01.13

開発秘話

日本初:ヨセミテがネット公共サービスに取り組むワケ(津田全泰)1

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

ありそうでなかったのが公共サービスでのネット活用。法や規制があるため自由競争のメカニズムが働きにくい分野で、あえて勝負を賭けるのがヨセミテだ。旅行者のための画期的なサービスサイト『フォートラベル』を立ち上げ、新たなステップに踏み出す津田全泰社長のビジョンに迫る。

楽天で5年間を過ごした津田氏は、満を持して起業に打って出る。狙いはCのフラット化だ。

「今でこそWeb2.0という言葉がちゃんと理解されて、それはCGM、例えばクチコミサイトやブログ、SNSだったりするわけだけれど、当時はそんな考え方さえなかったんですよ。そもそも消費者参加型のサイトって、アットコスメさんなど、ほんの数サイトだったんじゃないでしょうか」

サイトがないということは、作ればチャンスがあるということだ。ユーザー参加型サイトに対するニーズがあるのはどのジャンルか、考え抜いた末に行き当たったのが、自らが楽天で手がけていた旅行分野だった。

「旅行を商品として扱うサイトはあったけれど、旅行者が参加できるサイト、旅行者をサポートするサイトはない。それならと立ち上げたのがフォートラベルです」

ビジネスを始めるとき津田氏には、二つの明確な目的があった。一つは自分の作品と胸を張って言えるサービスを産み出すこと、もう一つはそのサービスからきちんとキャピタルゲインを得ることだ。

「ちょっと大げさかもしれないけれど、自分が死ぬとき孫にね、これはおじいちゃんが魂込めて作ったんだよって自慢できるサービスを創りたいという思いがありました。そして起業するからには価値を認めてもらえるサービスを創って、その対価としてキャピタルゲインをしっかり取りたいとも考えていました」

誰もが納得する素晴らしいサービスを世の中に提供する、その代わり価値に見合うだけの対価も得たい。言われてみれば極めて当たり前のことだ。

「その手段として考えていたのはIPOかバイアウト。最終的に選んだのはバイアウトでした。といって自分の会社を一生やり遂げることを否定しているわけではまったくないんです。ただ起業の一つの節目としてバイアウトという選択肢もあるよということを示したかったのです」

一つ起業して終わりではなく、次々とビジネスを立ち上げるシリアルアントレプレナーと言えば、シリコングラフィックスを創業しネットスケープコミュニケーションを上場したジム・クラークが有名だ。アメリカでは才能とバイタリティある人物にとっては、ごく自然な生き方でもある。それを日本でもやる、でも決して気負わない。このあたりの感覚もデジタルネイティブならではなのかもしれない。

旅行者のためのポータルサイト『フォートラベル』を立ち上げた津田氏は、わずか11ヶ月でそのバイアウトにこぎ着ける。

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