ヤクザ社会に学ぶ、社会の安定性をもたらす仕組み

2009.01.03

仕事術

ヤクザ社会に学ぶ、社会の安定性をもたらす仕組み

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

犯罪者を刑務所には入れず、街で掃除などをさせる「社会奉仕命令」、刑期の途中で刑務所から釈放して社会の中で更生させる「一部執行猶予」の制度が日本でも導入される模様です。2009年の秋には法案が国会に出るそうですね。

 また、大人になってしまった人が両親との関係をやり直すこともなかなか現実的ではないかもしれません。

 ただ、セラピーの現場の世界で「育て直し」という手法もあります。いい大人が赤ちゃんに戻って、幼少期の疑似体験をすることで、他人との関係構築にプラスの影響が出ることもあると言います。

 ヤクザ社会のように、親子の関係を強調した組織、やや現実離れした親子のストーリーをシェアしたような共同体を、パブリックに作り出すことは難しいかもしれません。

 ただ、現在は社会起業家と称する人々が山ほど出てきていますので、犯罪者の社会復帰支援を地でやっていくならば、こういったヤクザ社会の知見を活かしてみるのも、1つのソリューションだと思います。

 ちょっと議論がビジネスからそれているようにも見えてしまいますが、こういった知見は必ずしもビジネスと無関係ではありません。

 最近のビジネスでは、マネジメントにおいて、組織が安定しないという問題に対し、いかにリテンションしていくのか?いかに内部を統制するのか?という視点でモノを見ています。

 古きよき日本企業の良い面としては、擬似家族的な関係性を企業の中で意識的に作り出していた面がありますね。今でも三菱グループは組織は家族だ、人は終身だ、とおっしゃいます。

 ただ、自社の組織において、「家族」というものをどう意識すればいいのか?については、企業の成長戦略上、いわゆるエクイティストーリー上、ライフサイクル上の位置づけに依存します。

 ただ、組織の安定化に悩んでいる方はヤクザ社会に学ぼうとしてみること、そして、自社の組織を作り出していく試みをやっていくことも1つの手段だと私は思うのです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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