2009.01.01
カオスの時代―選択から創造へ
安澤 直樹
「100年に一度」といわれるカオス(混沌)の時代に、ベスト・プラクティスをリアルタイムで示すことは困難です。視野狭窄のプラクティスを回避する方法はあるのでしょうか。
一方、インテグレーティブ・シンキングは問題の全体像を把握し、個々の要素がいかに関連しているかを考えます。複雑になることを回避せず、むしろ歓迎します。複雑さの中での思考は多くの時間を要することになるかもしれません。しかし、革新的なベスト・プラクティスを導かなければならないカオスの時代に適した思考法だと思います。
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問題を単純化して、ソリューションを急ぐ。
バブル崩壊のときに対策が遅れた反省もあるのでしょう。このロジックに則した企業の対応が目立ちます。
問題は複雑でいいし、スピードは重視しない。
インテグレーティブ・シンキングでは、従来ならマイナスと考えられていたことを積極的に受け入れます。
重要なものを捨てるくらいなら、複雑なままでいい。
従来なら否定されたものを受け入れる。このプラス思考が創造を促すことに関して、ここでの説明は省きます。
早急な判断より創造性
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まずは、想像してみてください。
世間のリストラ禍に反して、御社の社員は一人も減らずに働き続けているとしたら、その社員はどんな仕事をしているのでしょうか? 今までと同じ仕事をしているのでしょうか?
想像するだけなら、コストはゼロです。
相変わらず同じ仕事をしているなら、それでも構いません。でも、昨今の不況下でも、以前と同じように仕事をすることが可能だとしたら、この不況下に、どんな対応していったのでしょうか?
適者生存。もう、大企業だから生き残れると言う人はいないでしょう。特に、昨年1年間はそれを証明する現実を数多く見聞きしてきました。環境変化に適応できたものだけが生き残るのです。
環境変化に対応した御社は、そのように変わったのでしょうか?
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大量失業を伴う現在のような広範な不景気を英語で depression といいます。depression は、気分が憂鬱な状態を意味する言葉でもあります。日本でも同様に、「景気は気の持ちよう」と言われます。
誰も望んでいるわけではありませんが、100年に一度のカオスの時代が、しばらく続くことになります。でも、カオスの時代も悪いことばかりではありません。
カオスの時代は、変革に対する抵抗が大幅に低減します。株主も社員も、その他の利害関係者も御社の独創的な変革を望んでいます。
変化に適応するための最善の方法が創造的適応です。創造的適応とは、変化に自分を合わせてのではなく、自ら変化を創り出すことで適応していくことです。
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