2009.01.01
カオスの時代―選択から創造へ
安澤 直樹
「100年に一度」といわれるカオス(混沌)の時代に、ベスト・プラクティスをリアルタイムで示すことは困難です。視野狭窄のプラクティスを回避する方法はあるのでしょうか。
この整理解雇4要件が満たされていなければ解雇は認められず、「解雇権の濫用」となるのが一般的です。
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新卒者の内定取り消しは、整理解雇4要件に則ったリストラへの布石ともいえます。いくら、安易な解雇は認められないとはいっても、今は企業存亡の危機と考える経営者の判断のもと、苦渋の選択と称してリストラを容認する動きが目立つようになりました。
企業存続のためにリストラを実施する企業の数が少数であるのなら、適正な判断といえるかもしれません。しかし、リストラを実施する企業が規模の大小に関係なく全国に及ぶとしたら、広範な消費低迷を誘発し自社の業績にも悪影響を及ぼす間違った判断となります。
個々人としては合理的な行動であっても、多くの人がその行動をとることによって、社会全体にとって不都合な結果が生じることを合成の誤謬といいます。
昨年末頃から、企業のリストラ関連報道がニュースのトップで扱われることが珍しくなくなったように思います。これだけをみても、十分異常事態です。
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「リストラは苦渋の選択」との声を多くの財界人から聞きます。
選択しなければならないから、統廃合、休廃業、リストラといった選択肢が候補としてクローズアップされる。そして、そういった選択肢が正規のプロセスを踏んだ決定事項として容認される。間違いを指摘できるポイントはどこにもありません。つまりは、「正しい判断」となる。
しかし、「正規のプロセスに則った正しい判断だからOK」ということでいいのでしょうか。ここで示された「正しい判断」は、安心安全や幸福、利益、成功などを保証するものではありません。
「日本で超優良企業といわれる企業が次々とリストラしているのだから、わが社もリストラに取り組まなければ・・・」
早計なリストラ判断がマクロ経済の停滞を助長する合成の誤謬を危惧する声が増えています。
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市場収縮、利益が出ないから、選択と集中で、統廃合、リストラ
私は、日本人はこのロジックが適切でないことを学んだと思っていました。
コスト削減で、教育を受ける機会を与えられなかったプロフェッショナル未満の社員が自社の信用失墜を招き、バブル崩壊後も、「失われた10年」といわれる長い暗黒の時代を経験したはずではないのですか。
しかし一面では、直間比率改善のロジックのもと、非正規社員を増やしてきたことが、現在の加速するリストラの要因であることは否定できません。
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