内部統制強化と購買業務について述べています。
最近J-SOX法の成立と共に購買業務における内部統制の強化というテーマで良く話しをします。
その大きな骨子として3つの対応を行わなければなりません。
1.範囲の決定:内部統制の範囲(プロセス、科目等)
2.プロセスの文書化:リスクをどのように担保するか?
3.モニタリング:内部統制が担保されていることをモニタリングしている
購買業務と内部統制は切っても切り離せないものがあると思います。以前私が勤めていた外資系企業では、入社後、教育で徹底的に教え込まれるのがコンプライアンスの重要性でした。これは単に法律を違反していないかどうかだけでなく、購買業務の公平性、透明性や接待や利得の授受に関しても厳しく言われていました。CEOがじきじきに教育を行い「この会社はどんなに売上が落ちてもすぐにつぶれることはないが、唯一そういうリスクがあるとしたら、それはコンプライアンスである」と教えこまれました。
某放送局の事例ではありませんが、一部の社員による不正支出が、その企業の売上(厳密な意味で売上ではないですが。。)の激減につながるような時代ですから、金を払うという業務である購買業務でその重要性が高いことは言うまでもありません。
では、どういう対応をすればよいのでしょうか?
どちらかというと、内部統制の観点でいうと、購買管理の遅れている間接材やサービス商材購買の方に改善する余地は高いと思います。なぜなら、購買管理が遅れていること、また多くの人がかかわるからです。
間接材、サービス商材購買で内部統制の視点からも大切なことは3つ上げられます。
1.役割・体制の整備:購買の三権分立(予算執行、仕様設定、購買発注)を担保すること
2.上記を担保する購買プロセスを整備すること
3.ルールを実行させるために、ITを活用すること
いずれにしても購買改革そのものであり、何か特別なことをやらなければならないか?というと、そういうことはありません。ちゃんとルールを作って、そのルールを徹底させましょう。ということです。
いずれにしても、上記の3つの対応のうち、2.文書化、の対応はたいへんなことになるでしょう。正直ISO9000を取得している企業であれ、プロセスの文書化がちゃんと行われている企業は結構少ないでしょう。
ただ、もっと大切なのは、3.モニタリングです。
当たり前な話なのですが、購買機能における主要な評価指標はコスト低減額(率)でしたが、これはあくまでも結果の数字でしかすぎません。内部統制が担保され、且つ購買能力を向上させるために必要な評価指標を設定し、それをモニタリングする。。
J-SOX法がどうか?とか関係なく、大切なことです。
ただ、一方で「内部統制」という名前をつければセミナーでの集客ができるという今の状況は何なんでしょう?
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。