ユニ・チャームといえば女性用生理用品の会社。誰もがそう思うところだが、実は違う。同社の売上をみれば,すでに生理用品を超えるアイテムがある。それが何だか、おわかりになるだろうか。
スーパーで山積みになっていた生理用品
約45年前、同社・前社長高原慶一朗氏は、アメリカでとんでもない光景を目にする。日本では薬局の片隅でこそこそと隠すように売られていた生理用品が、彼の地ではスーパーマーケットで山積みとなっていたのだ。この衝撃的なシーンは高原社長の脳裏にくっきりと刻み込まれた。
その頃の日本はといえば、アメリカに追いつき追い越せが合い言葉である。たいていの日本人は、豊かなアメリカのような暮らしぶりを望んでいた。では生理用品の未来はどうなるのか。「今(45年前)は日陰者的な扱いを受けている生理用品も、いずれはアメリカのようにスーパーで堂々と売られる存在となる」。これが高原前社長の出した結論だ。
そこで日本企業としては初めて生理用品の大規模な製造・販売に乗り出す。その結果がどうなったかは言うまでもないだろう。今ではゴールデンタイムでも生理用品のCMがばんばん放映されている。そしてユニ・チャームといえば生理用品というイメージができ上がっている。
世の中から必要とされるものを提供すれば、時間はかかっても必ず受け入れられる。そんな信念を企業DNAとして持つのがユニ・チャームだ。
13年前の介護マーケット
ここで時計の針をまた少し巻き戻してみる。13年前、筆者は介護マーケットに関わっていた。ある企業が大人用紙おむつを市場投入する際、その新製品企画・チャネル構築・プロモーション展開チームに外部プランナーとして加わっていたのだ。
当時は今でいうパンツタイプ商品が開発されたばかり、各社が競って新製品を市場投入していた。その頃書いた企画書を引っ張り出してみると、市場動向として次のように記している。
『将来性抜群、大人用紙おむつマーケット』
マーケットサイズは92年の320億円が95年には490億円と1.5倍に成長。この傾向は今後さらに進み、2年後の市場規模は現在の30%増になる。2000年には1000億市場が立ち上がるだろう。
実際には大人用紙おむつ市場が1000億に達したのは2006年だったようだ(日経産業新聞2008年11月14日・ユニ・チャーム提供データ)。予測より遅れたとはいえ、介護マーケットは確実に成長している。
かつてのユニ・チャーム、シェアは15%
では95年当時の競合状況はどうなっていたか。トップがP&G社でシェアは35%、ユニ・チャームは2位でシェアは15%だった。クープマンの目標値に当てはめるなら、P&Gがもう少しで相対的安定シェア(41.7%)に届き、ユニ・チャームは並列的上位シェア(19.3%)と市場的認知シェア(10.9%)の中間ぐらいに位置する。
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