この本を読んだ後、 私は思わず著者の周小異さんに最敬礼したくなりました。
『保険のない国から来た私がトップセールスになれた理由』
(周小異著、徳間書店)
著者の周さんは、お名前からわかるように中国人です。
1年間の留学のため25歳の時、日本にやってきました。
しかし、半年後に日本人男性(松尾哲郎氏)と結婚。
中国には戻らず、日本に留まることになります。
結婚当初は専業主婦。
夫との生活習慣の違いに戸惑いながらも、
平穏な日々を送っていました。
ただ、夫から毎月渡される給与明細を見て、
給与から天引きされる各種の保険に興味を持ち、
どんなものか知りたいと思うようになったそうです。
なぜなら、当時の中国では、
「保険」
というものが、
そもそも存在していなかったからです。
周さんの両親は公務員でしたが、
公務員の場合、病気になってもお金はかからず、
年金は終身年金。30年以上勤務していれば、
定年になった時の給料がそのままずっともらえたのです。
さて、子供ができて半年後、
周さんは台湾出身の保険の女性セールス担当者と出会い、
保険について話を聞き、また、保険のセールスを一緒に
やらないかと誘われました。
周さんは、この誘いに乗ることにしました。
すでに日本に来て4年目だったとはいえ、
まだまだ日本語は十分ではありません。
日本という異国の地で、
果たして保険のセールスとしてやっていけるのか
自信はありませんでした。
しかし、中国女性は、
結婚して子供ができても働くのが普通でした。
周さんも、お金のためではなく、
社会に出て働きたかったのだそうです。
また、保険についてもっと理解を深めるためには、
自分自身で保険のセールスをやるのがよいと考えたのです。
夫には反対されました。
しかし、次の3つの約束をすることで夫の承諾を得ます。
1.友人や家族に保険を絶対に勧めないこと
2.家のことは前と同じようにすること
3.息子を保育園に入れてはいけないこと
周さんは、日本生命の採用面接を受け、
いったんは「日本語が十分にしゃべれない」という問題で
不合格になりながらも、最チャレンジ。
2度目の面接で採用が決まります。
さらに販売資格取得のための研修を懸命の努力を重ねてパスし、
保険セールス部員としての第一歩を踏み出します。
ただ、3つの約束に加えて、なんのツテもない周さんには
飛びこみ営業しか顧客獲得の方法はありません。
最初はほとんど成果が上がりませんでした。
しかし、彼女には、個人としてのプライドだけでなく、
中国人としてのメンツがありました。
自分が成功できなければ、
中国人全体の沽券にかかわると考えていたのです。
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2014.06.01
2015.07.17
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。