ようやく日本からも、正真正銘、ワールドクラスのネットサービスが生まれた。GPSとGoogleマップを使い、自分が訪れた場所にメモを残す『メモリ』。世界の見え方を変える可能性のあるサービスの本質に迫る。
第2回
「Googleからアクセスできないように」
■自分自身がクエリーになる
「ある日、突然思いついたんです。ソファで昼寝しているときに」
メモリのようなサービスが、一体どのようにして生まれたのか。そのキッカケは何だったのか。投げかけた問いに対して返ってきたのが、ちょっと拍子抜けするような大川氏の答えだった。
「駅の掲示板みたいなサービスというのは、以前にも考えたことがあるんですけれどね。それってどうもイメージがよくないじゃないですか。ただ自分がどこかで残した文章を、後から来た人が見れるというのは頭に残ってたみたいで、京都オフィスのソファで昼寝してた時に、それがメモの形ではっきり見えたんです」
メモリは、まさに夢から生まれた夢のようなサービスなのかもしれない。何よりも画期的なのはGPS機能の活用方法だろう。GPSを使えば、いま自分がいる場所を特定できる。つまり自分が今いる場所のGPSデータが、自動的に検索キーワードになるわけだ。
「自分がいま、この特定の空間にいるという形で座標を固定する。これって自分の体そのものがクエリーになるようなイメージですよね。そして、過去にその場所にやってきた人が残している膨大な記録データベースに素早くアクセスできる」
だからメモリは、ケータイでしか実現し得ないサービスなのだ。もちろん特定の場所について記されたメモなら、たとえばパソコンからアクセスできても悪くはないようにも思える。
「でも僕は、今その場所にいる人にとって役に立つ情報が提供できればそれで十分なんです。だからメモリはあえてGoogleの検索に引っかからないようにしています」
通常ネット系のサービスといえば、まず検索に引っかかることを最優先の課題におく。検索で上位表示されるからこそ、ページビューを稼げる。ページビューがあるからこそ価値がある。逆にいえば検索で引っかからないのなら存在していないのも同じ、ぐらいに考えられているのだ。にも関わらず、あえて検索を拒むのはなぜだろうか。
▲メモリを思いついたソファ。京都で買って10年になる。
■データをゴミの山にしたくない
「ネットを使えば、ローコストで情報を大量配信できる。そのことに意味があると思われてきましたよね。でも、いまブログがスパムだらけになっているのを見るとわかるように、そういう情報配信システムは悪用されるリスクがあるし、悪用されるスピードもものすごく早くなってきています。この流れに巻き込まれたくなかったんです」
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FMO第17弾【株式会社MemoLi】
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